2022 Fiscal Year Research-status Report
英語の現在時制諸現象の包括的説明に関わる「状態性」を巡る通時的・共時的研究
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22K00623
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 万里子 九州工業大学, 教養教育院, 教授 (20189773)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Simple Present Tense / Be+V-ing構文 / Habituals / Subjunctive Present / Indicative Present / Stativity / finite/ non-finite / 現実・実現性へのコミットメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、これまで収集してきた17世紀末から20世紀末までの動詞研究から、事例考察に基づいた在時制表現に関する論考・見解を精査することに中心を置くと共に、それらと18世紀における実際の使われ方との呼応具合を調査しつつ検証を重ねた。特にPickbourn (1789)とLangacker (1991)の共通点・相違点を通し、英語の現在時制の形態素の役割、単純現在形・現在進行形・現在完了形という3つの現在時制表現それぞれの特性及び三形式間の役割分担、それらと「状態性」との関係について考察を進めた。
上記については、特に英語の現在単純形が「変化が認識されずどの時点で見ても同じ全体像が把握できる」状態を表し、状態だからこそ迂言形でない形で表せる点を、alwaysの類の副詞に修飾された単純現在形と現在時制のBe+V-ing形の具体的事例を通して、2023年4月8日に英語し研究会における講演の一部に含めた。また、単純現在形と現在Be+V-ing形との意味機能の相違と構文全体では両者「状態」を表す共通点を、通時的・共時的、かつ包括的に説明できる原理について2023年開催される国際語用論学会、国際認知言語学会のアブストラクトに纏め、採択された。
同時に、Subjunctive(仮定法現在)とIndicative (直説法現在)との関係についても18世紀の書簡資料等における調査を開始した。内容については、その現実味にcommitせず(立ち入らず)現実とは切り離した純粋に命題を表す形で、Though節等の譲歩節や条件節If節に現れる一方、when節に生じた例は検出できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
就業時間内に研究時間を確保することが困難であったため
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Strategy for Future Research Activity |
Subjunctive Presentは、18世紀では既に使用頻度は低いものの、くだけた話題についても現代よりは頻繁に見受けられ、Be+V-ing構文にも現れた。この形式の使用には未来の状況、即ち未実現の事象の実現性や現実味に関する話者のコミットメントの度合いが深く関わると考えられる。Though節やIf節内のSubjunctive表現が、類似の意味機能を持つmodal finite法助動詞や準法助動詞表現を含む表現に移行していく過程の片鱗が2022年度収集データにより確かめられた。例えばhave to等は18世紀書簡には見られず、そういった意味の表現にはbe obliged to等が用いられていた。2023年度は、こういった方向からwhen節内の命題の特性を追求し、単純現在形の状態性との関わりを考察する。
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Causes of Carryover |
本課題研究の交付申請書提出時点で予測していた18世紀デジタルアーカイブの入手価格が2.4倍に膨らんだため、デジタルアーカイブ購入を取りやめた。そこで、研究計画と方向性を見直し、大英国図書館及び欧州の大学図書館で、直接、18世紀分のみならず、以前・以後も含めた資料収集に着手することにした。
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