2022 Fiscal Year Research-status Report
The relation between the perception/production of English lexical stress and phonological knowledge
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22K00627
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
菅原 真理子 同志社大学, 文学部, 教授 (10411050)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 英語の語強勢 / 無強勢非弱化母音 / 完全母音 / 弱化母音 / 母音の強勢の強さ / 母音の弱化と継続時間 / フォルマント特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語の無強勢非弱化母音(以下U)に関して、以下の成果を出した。 1.「英語母語話者が認識しているUの強さのレベルはどのようなものか」という問題提起をし、アンケート調査の結果を[1]にまとめた。この調査では英語母語話者に、Uを核とする語末音節と無強勢弱化母音(以下R)を核とする語末音節の強さを5段階で評価してもらった。その結果、Uの方がRよりも有意により強いと認識されていた。この結果を、2021年3月に報告した語頭音節での結果とも比較した。 2.Fear et al. (1995)は、語頭において、Uの継続時間やフォルマント特性(母音の質:F2-F1と弱化とは反比例の関係)は、第1・第2強勢完全母音(以下P・S)とRとの中間的な性質を示すと報告している。この先行研究の報告を受け、「Uの母音の質の弱化は、単純にその継続時間に起因するのか」という問題提起のもと、発話実験の結果(Uを含む単語が新情報であるときの結果)を[2]にまとめ、Uの弱化は、単純に継続時間の短さの副産物ではないと結論づけた。([2]の内容はICPhS 2023で発表する。) [1] 菅原真理子 (2023). 「英語における主強勢直後の語末完全母音音節の韻律的強さの評価--聴覚刺激を用いない内省判断タスクに基づく研究」 『同志社大学英語英文学研究』104号, pp. 137-159. [2] Mariko Sugahara. (2023, to appear in August) “Formant characteristics of unstressed unreduced vowels in American English: Only explained by duration?” Proceedings of ICPhS 2023.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の成果として、研究申請書で提示した「疑問①」に関して、論文2本の発表(うち1本は国際学会ICPhSでの発表)であり、当初の予定に即して、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、以下のとおりである。 ・令和5年度は、申請書に提示した「疑問①」に関して、さらに研究を進める。上記のICPhS論文[2]では、Uを含む単語が新情報として発話されたときの結果であるが、それが焦点後の旧情報の場合はどうなるのか。既に発話実験で得られたデータをもとに分析していく。[2]で取り上げた母音には二重母音は含まれていないが、二重母音の場合はどうなるのかも検証し、論文としてまとめる。 ・令和6年度には「疑問①」と「疑問②」の両者に関して、2件の研究を行う。「疑問①」に関しては、Uと他の強勢レベルの母音を入れ替えた刺激音を聞いた時、英語母語話者はその母音の強さをどう認識するのか、母音の種類によっても異なるのか(たとえば、弛緩母音と緊張母音では異なるのか)、という問題提起の元、知覚実験を実施する。また「疑問②」(英語学習者が英単語を発話するときと、紙面などにスペルで記された単語に強勢の印を付与するときに使用する知識は同一なのか)についても分析を行う。 ・令和7年度以降は、上記の研究の総括を行い、論文執筆を進める。
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Causes of Carryover |
令和4年度はコロナがまだ全面的に収束していなかったため、国際学会に参加することを断念し、発話・知覚実験も、対象者となる留学生がキャンパスにいなかったため実施できなかった。よって、次年度使用額が生じた。また予定していたコンピュータも、スペック等さらに検討する必要があり、購入を次年度以降に先延ばしすることとした。次年度(令和5年度)には国際学会参加費・旅費を執行し、希望に見合うコンピュータが入手できる見込みが立てば購入する。
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Research Products
(3 results)