2022 Fiscal Year Research-status Report
日本語教育人材の非直線型キャリア形成に関する基礎研究
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22K00635
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松尾 憲暁 岐阜大学, グローカル推進機構, 特任助教 (80626656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 かおり 明星大学, 人文学部, 准教授 (00934548)
山本 晋也 周南公立大学, 経済学部, 准教授 (20710742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 日本語教育人材 / 非直線型キャリア / 転機 / 意識変容 / 複線径路等至性アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、在職・離職・復職の転機に着目し、日本語教育人材のキャリア形成のプロセスの解明と長期的なキャリア形成モデルの提示を行うことである。本研究課題では以下の3つに取り組む。①キャリア及び生涯発達に関する文献の調査、②日本語教育人材へのインタビュー調査の実施と分析、③②の結果を踏まえた、日本語教育人材のキャリア形成モデルの生成である。 初年度にあたる2022年度は、研究の組織・体制づくり及びキャリア及び生涯発達に関する研究の整理を中心に取り組んだ。研究の組織・体制づくりに関しては、研究分担者との打ち合わせを綿密に実施するとともに、日本語教育以外の分野の専門家を含む研究者とのネットワーク構築に努めた。これにより、来年度以降の調査の対象や分析の枠組みを明確にすることができた。また、キャリア及び生涯発達に関する研究の整理については、他分野のキャリア研究の購読を行いながら、日本語教育におけるキャリア研究の文献調査を実施した。これにより、日本語教育ではキャリアという用語が留学生を対象とした研究を中心に発展してきたが、近年では日本語教育人材に関する研究が増加していることなどを明らかにすることができた。 以上の成果の一部を学会等で発表した。2022年度の主な実績は以下の通りである。 1)松尾憲暁・山本晋也・高井かおり(2022)「日本語教育において「キャリア」はどのように扱われてきたか」(於:アジア人材環流学会ハノイ国際セミナー2022ポスター発表) 2)松尾憲暁・山本晋也・高井かおり(2022)「日本語教師を「続けない」というキャリアの転機-海外で日本語教師を経験した3名の語りから-」(於:2022年日本語教育学会秋季大会ポスター発表) 3)松尾憲暁(2023)「日本語教師のキャリア形成の事例:他の職業に就きながら日本語を教える」(於:日本語教育学会2022年度北陸支部活動事例紹介)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に該当する2022年度は調査の前段階として、研究の組織・体制づくり及びキャリア及び生涯発達に関する研究の整理を予定していた。しかし、他分野の研究を整理しながら、日本語教育全体のキャリアに関する研究を俯瞰的に捉える研究が見当たらないと考えられたため、日本語教育分野における文献調査を実施した。時間が取られてしまうことにはなったが、調査を実施したことにより、本研究の位置付けをより明確にすることができた。また、今年度は発表の予定は当初なかったが、文献調査の結果やそれまでに蓄積していた知見を示し、様々な立場の方々から意見をいただくことで、抜け落ちている視点に気づけると考え、数回の発表を行なった。それにより、今後の調査研究に繋がるような意見をいただくことができ、来年度以降のインタビュー調査で焦点化する項目を洗い出すことができた。以上の通り、予定していた計画とは若干異なるものの、調査研究の進展に関わる取り組みを展開できたと考え、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の取り組みを通じて、本研究の調査研究の枠組みを構築することができた。2023年度は2022年度の取り組みの成果を踏まえ、離職・復職の経験を持つ日本語教育人材へのインタビュー調査を実施し、彼ら/彼女らのキャリア形成プロセスの分析を進めていく予定である。2023年度は日本国内及びタイと中国での調査を予定しているが、海外での調査については、新型コロナウイルス感染症等の現地の社会情勢を鑑み、実施の可否を慎重に検討する。もし実施が困難と判断されれば、調査対象国の変更やオンラインでの調査の実施等の代替案を検討し、柔軟に対応していきたい。また、学会参加や、関連する研究者や研究者グループとの情報交換を積極的に行っていくとともに、調査から得られた結果を学会や研究会等にて積極的に発表していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定していた関係者との打ち合わせが実施できず、またいくつかの学会や研究会がオンライン開催に変更となったため、旅費やその他の経費の使用額に変更が生じた。 次年度は、感染状況に留意しながらも、2022年度に実施できなかった関係者との打ち合わせを実施するとともに、当初から予定している国内外の調査を積極的に実施していくことで、前年度の繰越金を有効に活用し、研究を推し進めていきたい。
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