2022 Fiscal Year Research-status Report
中国人日本語学習者の「視点」習得に関する縦断的研究とオンライン教材開発
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22K00636
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉村 泰 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (60324373)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 視点 / 方向性 / 文法習得 / 中国人日本語学習者 / 母語転移 / 対照研究 / 縦断的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本語話者と日本語学習者の視点把握の違いを明らかにし、日本語のオンライン教材の開発を行うことを目的としたものである。日本語学習者は「自動詞と他動詞」「能動文と受身文」「(~テ)アゲル・モラウ・クレル」「(~テ)行ク・来ル」「コ・ソ・ア」「カラ・ヲ・ニ」などの形態的・統語的・意味的知識は比較的容易に習得する。しかし、母語での視点把握とのずれもあり、どの場面でどの形式を選択するのがふさわしいかを判断するのは必ずしも容易ではない。そこで本研究では、日本語・中国語それぞれの母語における視点の取り方を調査した上で、中国語を母語とする日本語学習者の日本語を習得段階別に見ることにより、習得上の困難点を明らかにする。 本年度は日本語母語話者600人と中国の上海師範大学と江蘇理工学院の日本語学科の1年生50人(日本語初級レベル)を対象に、アンケートによる日本語の「行く/来る/帰る」の選択テストを実施した。アンケートでは、①移動者が第一話者か第二話者か第三者か、②移動先が第一話者の家か第二話者の家か第三者の家か、③第一話者が出発点にいるか到着点にいるか第三の地点にいるか、④第二話者が出発点にいるか到着点にいるか第三の地点にいるか、という観点から合計90場面を設定して調査を行った。日本語母語話者には「行く/来る/帰る」の三者択一テストと「行く」「来る」「帰る」それぞれの文法性判断テストを行い、日本語学習者には「行く/来る/帰る」の三者択一テストのみを行った。さらに日本語アンケートを中国語訳したもの(三者択一テスト)を中国語母語話者23人に実施し、初級学習者の母語転移を分析した。 また、コーパス調査とアンケート調査を利用して、日本語話者と中国語話者の「~を出る」と「~から出る」、「乗り物で」と「乗り物に乗って」の使い分けについても調査し、日中の空間把握の違いについて分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中国でのコロナ感染蔓延により、当初予定した中国に渡航して調査することができなかったため。ただし、その分アンケート項目をじっくり練る時間ができ、今後の調査の基礎作りができた。また、オンラインで可能な限りのデータを集めることができたため、研究に大きく差し支えるほどの遅れとはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナによる中国への渡航がまだ少し難しく、先方でも自由に対面で調査ができる状況ではないため、本年度も当初予定していただけの調査は困難であると思われる。しかし、徐々に中国への渡航が緩和されてきているため、今後は調査が進むことが期待できる。海外研究協力者である上海師範大学の張善実先生とは定期的に連絡を取り合っており、オンラインで可能な限りのデータ収集を進めていく。 また、コロナによる影響で、当初予定していた上海師範大学だけで縦断的データをとることは難しくなったため、他大学でもデータを収集して、複数校の縦断的データと横断的データを合わせて学習者の視点習得を見ることとする。 これによって、初級、中級、上級日本語学習者のデータを収集し、母語転移の可能性を分析する。その結果を学会発表し、論文として公表する。さらにそれを基に中国語を母語とする日本語学習者に適した日本語文法教材を開発する。
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Causes of Carryover |
本年度は中国でのコロナ感染により、中国国内での対面によるデータ収集ができず、海外渡航旅費を使用しなかったため。
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Research Products
(9 results)