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2023 Fiscal Year Research-status Report

日本語学習者における評価・感情副詞の習得研究と指導用ガイドラインの構築

Research Project

Project/Area Number 22K00638
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

朴 秀娟  神戸大学, グローバル教育センター, 講師 (10724982)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2027-03-31
Keywords副詞 / 評価・感情を表す副詞 / 日本語学習者 / 学習環境 / コンテクスト / 「なかなか」
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、話し手の評価・感情を表す副詞(以下、「評価・感情副詞」とする)について、1)日本語学習者(以下、「学習者」とする)の習得状況並びに習得に関わる要因を明らかにすること、そして、2)その考察結果に基づき、評価・感情副詞の指導に活かせるガイドラインを作成することの2点を目的としている。本年度は、主に1)に関する調査及び考察を行った。具体的には以下のとおりである。
まず、学習者コーパスを用いて、学習者の日本語の習熟度、母語別に、評価・感情副詞の産出状況について調査を行った。その結果、習熟度が上がるにつれて産出はされるようになっても、使用頻度、種類ともに少ないことが明らかになった。また、本調査では英語を母語とする学習者と比べて中国語や韓国語を母語とする学習者においてより様々なタイプの評価・感情副詞が産出されていたことから、評価・感情副詞の産出においては、学習者の母語による違いがありうることが示唆された。
次に、評価・感情副詞の一つである「なかなか」を対象に、学習者の学習環境(海外/国内)を考慮した考察を行った。その結果、海外学習者、国内学習者のいずれも日本語母語話者ほど使用はしていなかったものの、海外学習者より国内学習者においてより多くの使用が見られたこと、また、国内学習者の中でも、教室環境学習者より自然環境学習者においてより多くの使用が見られたことから、評価・感情副詞の使用は、日本語母語話者との接触を通して促される可能性があることが示唆された。また、日本語母語話者による「なかなか」の使用例を分析したところ、「なかなか」がもつ評価的意味の考察にはコンテクストに着目した分析が有用であることが分かった。この結果は、ガイドラインを作成する際に応用できる重要な情報の一つになると考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上でも示したように、本年度は、主に学習者による評価・感情副詞の習得状況及び習得に関わる要因について考察を行っている。本年度の初めは、上記以外にも、会話教科書を中心に、日本語教科書における評価・感情副詞の扱いに関する調査(以下、「教科書調査」とする)も予定していたが、学習者による習得状況に関する調査の過程、及び発表の場でのディスカッションを通して、評価・感情副詞の範囲を定めることの難しさが浮かび上がってきた。具体的なガイドラインを提示するためには、まずは本研究課題における評価・感情副詞の定義の見直しが必要であると判断し、教科書調査はいったん保留することとし、本年度は学習者による評価・感情副詞の習得状況及び習得に関わる要因に関する調査・考察に注力することとした。教科書調査を保留としたため、当初予定していた調査を全て行うことはできていないものの、学習者による評価・感情副詞の習得状況及び習得に関わる要因に関する調査・考察に注力した結果として、ガイドラインの作成に活かせる考察結果を得ることができたため、全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、これまでの調査から得られた知見を精緻化しつつ、学習者による評価・感情副詞の習得状況及び習得に関わる要因を明らかにするための調査を引き続き行う。また、ガイドラインの作成に向けて、本研究課題における評価・感情副詞の定義を見直し、ガイドラインで扱う評価・感情副詞のリスト化を目指す。なお、次年度においても、学会発表や論文の公刊を通して、研究成果を積極的に発信していく。

Causes of Carryover

本年度に生じた未使用額は、研究成果の発表及び本研究と関連する情報や資料収集のために参加を予定していた海外学会がオンライン開催となったことから生じたものである。本年度に生じた未使用額は、次年度に行う調査に必要な資料の購入、及び出張や論文の掲載にかかる費用等、成果発表にかかる費用として用いる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] ことばの創造性:主観性・対話性・多様性からのアプローチ2024

    • Author(s)
      小松原 哲太、朴 秀娟、南 佑亮
    • Journal Title

      国際文化学研究 : 神戸大学大学院国際文化学研究科紀要

      Volume: 61 Pages: 1~33

    • DOI

      10.24546/0100487336

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 日本語学習者における「なかなか」の使用実態の分析2023

    • Author(s)
      朴 秀娟
    • Organizer
      韓国日本語教育学会第66回国際学術発表大会
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「なかなか」から始める文法研究―コンテクストに着目した意味・用法の分析―2023

    • Author(s)
      朴 秀娟
    • Organizer
      日本語文法学会第24回大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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