2022 Fiscal Year Research-status Report
学習者の批判的思考を促す対話活動ー知識構成型ジグソー法を用いた授業設計ー
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22K00641
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小山 悟 九州大学, 留学生センター, 准教授 (50284576)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 批判的思考 / コンテントベース / デザイン実験 / 知識構成型ジグソー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者は現在、コンテントベースの日本語授業(CBI)に「知識構成型ジグソー法」(三宅 2011)をベースにした「教え合い」と「話し合い」の活動を導入することで、学生たちの批判的思考を促す新たな教授法の開発に取り組んでいる。本研究はその一部であり、それぞれが学習した内容を教え合い、情報共有した後、教師から与えられた課題の答えをグループで考える「話し合い」の指導に焦点を当てている。 今年度は、2021年度に別の科研(2019年度 基盤研究(C) 課題番号19K00740)で行ったのと同じ方法、同じテーマで実験授業を行い、両者を比較することで教育効果の検証と課題の洗い出しを行った。2021年度の調査では、小山(2019)の研究知見に基づき、それまで1度きりで終わらせていたジグソー学習を、視点を変えて3度繰り返す授業デザインへと変更し、各回の合間に「揺さぶり発問」を行うことで、学生たちの思考を深めさせようと試みた。しかし、調査終了後に録画データの分析を行ったところ、資料の説明と理解に手間取り、課題の答えを考える話し合いはほとんど行われていなかった。そこで今年度は、これまで授業内で行っていた資料の読解を事前に予習として行わせ、浮いた時間を「何をどう説明するか」の相談と、説明の予行練習に費やせるようにした。その結果、ジグソー活動では、昨年度のように「話し合いをすることなく、時間切れ終了」などという事態は生じず、課題の答えを考える話し合いも絶え間なく、活発に行われた。また、「授業中に何を考えていたか」を尋ねる質問紙調査でも平均値が事前・事後で有意に上昇しており、その差も昨年度より広がっていた。しかし、その一方で、各回の「まとめ」の記述には学生独自の考えや解釈を示したものまでは見られず、「思考の深さ」という点で課題が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はコロナウィルス感染症の蔓延により、計画していた現地香港での実験授業を実施できなかったが、昨年の経験からオンラインでの実験授業を滞りなく実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」でも述べたように、今年度の調査では、話し合いは活発に行われ、(質問紙調査の結果からも)学生の思考を一定程度刺激できていたことは確かである。しかし、その一方で、各回の「まとめ」の記述には学生独自の考えや解釈を示したものまでは見られず、「思考の深さ」という点で課題が残った。道田(2005)は、批判的思考はそれ自体決して難しいものではないが、その分野に関する知識や経験があまりない場合や、いつもやっていることで「こうすれば大抵うまくいく」と思っている場合に難しくなることを指摘しており、今年度の結果は後者に起因するのではないかと考えている。すなわち、授業のテーマ(国民食化の条件・法則)が身近で親しみやすいがゆえに、常識からなかなか抜け出せないのではないかということである。よって、学生たちの思考(特に、多面的に考える創造的思考)をどのように刺激し促すかが今後の課題である。鍵となるのは「揺さぶり発問」で、何をどのタイミングで問いかけるかを検討していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大により、香港の高等教育機関で実施予定だった実験授業がオンラインに変更になったため。
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