2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of an online language assessment system for Japanese active performance, LEAP, and testing support frameworks
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22K00658
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 礼子 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (30432298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 啓史 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (30241756)
榎原 実香 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 講師 (70849067)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本語運用能力 / 評価 / プレースメントテスト / オンラインテスト / 即時性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,オンライン環境で教育機関の教育事情・目的に即した日本語レベル判定を簡易的に行うことができるテスト(LEAPテスト)を開発することである。自然な速度の音声を聞きながら短文の空欄にひらがな1文字を書くという用紙版SPOT(小林,1996)の特長をオンライン上で再構築し,簡易なプレースメントテストとして日本語能力を診断するテストの開発を目指す。研究機関前半では,プレースメントテストとしての妥当性・信頼性の検討を行う。初年度は空欄となっている箇所及びその前後の音声の特徴が聞き取りに与える影響を検討した。 本年度(二年目)は,初級から中級レベルの日本語学習者を対象にLEAPテストの試行を継続するとともに,テストの難易度にかかわる性質を検討した。解答箇所の性質として,①解答文字数,②文法レベル,③解答箇所に含まれる語の数について,解答得点(LEAP得点)との関係を分析した。その結果,①②③のいずれにおいても,難度が上がるほどLEAP得点が低くなり,これら3つの性質がテストの難易度に関わることが確認できた。さらに,空所の性質と日本語能力との関係を検討するために,日本語レベル別にとLEAP得点の関係を検定した。その結果,①解答文字数が1文字・2文字の場合,初級から初中級までの学習者間を中心に得点差がみられたが,3文字ではより広いレベル間で得点差が得られた。②文法レベルについても,問題文のレベルが上がるについてより広範な日本語レベルの学習者で得点差が見られた。③解答箇所の語数では,2語及び3語で構成された問題では中級後半-中上級を除くレベル間で得点差がみられた。以上のことから,初級から中級レベルの日本語学習者の日本語能力を判別するには,ひらがな1文字の聞き取りのみでは不十分であり,解答文字数等を増やしたより複雑な問題が適している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・試行テストを継続的に実施しており,着実にデータを蓄積している。 ・テストの難易度に影響する要因を明らかにするために,いくつかの変数を操作したテストを実施し,受験者の日本語能力と解答箇所の性質について調査・分析を行った。音声的要素,解答文字数,文法レベルが難易度に関わる主な要因であることが確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
・今後は,空所の性質が複合的に重なる場合の影響について,音声特徴も含めて検討を行う。 ・学習者要因として日常的に日本語音声に触れる学習者は文法・語彙能力と比べてLEAP得点が高く出る傾向がみられている。より正確なプレースメントテストとするために,日本語音声の聞き取りを特に得意とする学習者でも日本語能力を判定できるよう,これまでの知見を活かして,音の聞き取りだけでなく日本語運用能力を伴わなければ解答できない問題を作成し,試行実施する。 ・モバイル環境ユーザーへの対応について,引き続き検討を行う。 ・他機関の学習者を含めたLEAPテストの利用を推進する。
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Causes of Carryover |
設備設備備品として予定していた,テストの動作確認及びテスト受験用の携帯型端末については既有の備品を利用した。 成果発表として応募していた国際学会(21th AILA World Congress in 2024)に採択され,次年度に参加の旅費として使用予定である。また,今後,他機関の日本語教師へのLEAP利用ワークショップ開催費用を見込んでいる。
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