2022 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム語母語話者の漢越語を利用した介護分野の漢字語彙学習教材の開発:学際的研究
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22K00664
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
PHAN THI・MY・LOAN 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (10708704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比留間 洋一 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (30388219)
佐々木 良造 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (50609956)
天野 ゆかり 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (60469484)
道上 史絵 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 特命助教 (80910538)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 漢字・漢語学習指導法 / 日本漢字音 / 越南漢字音 / 漢語指導法 / 目的別日本語教育 / 介護の日本語教育 / 漢越語 / 介護福祉士国家試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本課題1年目はまず、前より実施した、ベトナム人の漢越語知識に関する調査の対象をより広げ、ベトナム人介護技能実習生に対しても調査を行った。調査の結果、研究協力者(1名)は日本語とベトナム語の両言語で使われる一定量の漢字語彙に関する十分な知識を持っており、漢越語の知識を試験問題の解答に利用し、模擬試験の5問のうち3問を正しく解いた。フォローアップインタビューで研究協力者は、自分の漢越語知識を日本語の漢字語彙の音読みと意味の推測に利用しており、それを現在の実習においても活用できていることがわかった。 (2)ベトナム語母語話者が持つ漢越語の知識を活用した介護の日本語漢字語彙学習教材を開発するために、2012年(第24回)から2022年(第34回)まで計11回の介護福祉士国家試験問題文をコーパス化し、漢字のみで構成された2663語(異なり語数)を抽出した。このうち、日本語とベトナム語とで共通かつ同順の二字漢字語498語(異なり語数)が存在し、日本語とベトナム語の両言語で使われる意味・用法が同じか、または、きわめて近い語彙、意味・用法が異なる語彙と意味・用法にズレがあると3つのパターンの二字漢字語があることが明らかとなった。次に、2663語から日越同形二字漢字語498語が含まれる語彙を抽出したところ、2280語(異なり語数)が抽出された。これら2280語の介護福祉士国家試験問題文における出現頻度を調べ、頻度が高い方から語彙を選定した。 (3)ベトナム人介護留学生の漢越語知識および日越同形二字漢字の音韻類似性を利用し、漢字・漢字語彙の類推および漢字語彙の拡大を目的に、①日越同形漢字二字の導入および両言語における意味・用法の異同の説明、②語構成(例:利用+者、専門+員など)、③漢越語からの意味の類推、および漢越音からの意味の類推の3つの教材案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画より早く介護福祉士国家試験の問題から頻出漢字語彙の抽出も終えることができ、また教材案も作成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、介護に関わるベトナム人日本語学習者の属性調査を行う予定である。また、日越同形二字漢字語の両言語における意味・用法の異同分析を行った上で、介護の文脈での意味の確認をする。更に、開発している教材の他の教材案を考案するとともに、教材の配列、教材利用者の想定、教材の試用(日本、ベトナム、日本及びベトナム等)を決める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、予定していた介護に関わるベトナム人日本語学習者の属性調査ができなかった。2023年度にベトナム語を母語とする介護福祉士養成施設学生や介護プログラムで来日した日本語学校在籍中の留学生等を対象に実施する予定をしている。その謝礼等に使う予定である。
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