2023 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム語母語話者の漢越語を利用した介護分野の漢字語彙学習教材の開発:学際的研究
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22K00664
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
PHAN Thi・My・Loan 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (10708704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比留間 洋一 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (30388219)
佐々木 良造 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (50609956)
天野 ゆかり 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (60469484)
道上 史絵 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80910538)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 介護福祉士国家試験 / 漢越語 / ベトナム語母語話者 / 漢越語意味把握 / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題2年目は、越語母語話者の漢越語意味把握の実態調査を行った。同調査が必要になったのは、先行研究では学習者の越語使用実態に関する調査はなされていないからである。現代ベトナム語(越語)の中には漢語起源の漢越語が意味や音声の類似性を残したまま保存されており、日本語教育ではこの点が越語母語話者の漢字教育・学習に利用可能であるとされる。しかし、意味の類似性が教育・学習に利用可能だと言うためには、学習者が漢越語の意味を知っている、日本語と同義で把握していることが前提となる。そのため同調査では、越語母語話者側の漢越語の意味把握に関して、日越間で同文字かつ同義である二字熟語を対象に質的な調査を行った。調査の結果、日越で異なる意味が再現されるのには1) 越語の本来の意味とは異なるが使用文脈に影響を受けた意味が定着している、2) 両言語で意味が重ならない部分が想起される、3)語を知らない、という三パターンが見られた。1)と2)でずれが大きいものは日本語学習への即時利用は難しい。3)の場合、二字のいずれかを頼りに推測を行い、誤った意味が再現される。この推測を困難にする要因の一つに、現在ベトナム語の文字表記において漢字が使用されていないことがある。漢越語と純粋ベトナム語等が同音異義語である場合、その区別が難しく、多様な解釈が可能となり、それが推測をより困難にすると考えられる。 上記以外の実績としては、まだ発表できる段階には至っていないが、介護福祉士国家試験に出題される13科目のうち、まず「生活支援」という科目に絞って、ベトナム語母語話者のための自習教材作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は家族介護を手伝わなければならなかったため、介護に関わるベトナム人日本語学習者の属性調査および開発している教材の他の教材案の考案はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナム語母語話者の介護福祉士国家試験対策の自習教材を作成する。
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Causes of Carryover |
予定していた介護に関わるベトナム人日本語学習者の属性調査が実施できなかった。2024年度に介護福祉士養成施設や介護プログラムで来日した日本語学校在籍中のベトナム人留学生等を対象に実施する予定をしている。その謝礼等に使う予定である。
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