2022 Fiscal Year Research-status Report
VR空間における「学び合いの場」の構築による外国語学習モデルの研究開発
Project/Area Number |
22K00682
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大前 智美 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (00379108)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩居 弘樹 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20213267)
渡邉 ゆきこ 沖縄大学, 人文学部, 教授 (60320529)
小渡 悟 沖縄国際大学, 産業情報学部, 准教授 (90369207)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | VR / メタバース / ICT活用教育 / 発音学習 / コプレゼンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、VR(バーチャルリアリティ)空間に能動的外国語対話学習のための「学び合いの場」を構築し、教育実践・検証を行うことで、新たな外国語教育の可能性を提案することを目的としている。 合成音声と音声認識機能を活用した多言語対応発音学習システムST Labの開発により、発音教育・指導について一定の効果を上げてきており、本システムにより学習者自身が可視化された発音結果から間違えた箇所を修正しながら発音を上達させることが従来の研究で明確となった。本研究ではさらに能動的な発音練習を可能にするため、ST Labに学習者自身が発音したい内容を登録し、発音学習するための自学モードを追加した。これにより、教員から与えられる発音の基礎学習だけでなく、学習者自身が言いたいことを言えるようにするための発音練習が実現できる。 ST Labにより発音の学びを通じ、その発展として対話学習の場「学び合いの場」をVR空間に構築している。初年度は「VRで学ぶ中国語」(https://sites.google.com/okinawa-u.ac.jp/e-learning-vr/vr)にあるように、沖縄大学の中国語クラスでMozilla Hubsを使ったVR空間における対話学習を実践している。これらの実践は第19回eラーニングアワードにて「VR活用教育特別部門賞」を受賞している。大阪大学ではEngage VRというメタバースアプリを活用し、学習者にMeta Questを貸し出し、VR空間におけるロシア語授業実践を行った。本実践はVR空間におけるコプレゼンス、学び合いが実現できる「場」となり、対話学習に効果的であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は多言語対応発音学習システムST Labで学習者自身の作文データを入力し、発音練習ができるようにする「自学モード」の開発を行なった。本機能の実装により、従来の指示された表現を練習するだけの発音学習とは違い、学習者自身の表現したいことを「通じる」発音にするための発音学習が実現できる。 また「学び合いの場」の構築として、Mozilla Hubsを活用した対話学習環境を構築し、初級中国語教育において対話学習を効果的に実践している。Mozilla Hubsで構築したVR空間は、中国語のみならず他の言語教育においても活用できるよう公開する。さらにヘッドマウントディスプレイを使用した没入型のVR授業を実施し、学習者同士がVR空間内において学び合う姿勢を見せるなど、対話学習における効果を見せている。今後さらに学習効果の測定や幅広い対話学習のための「場」の構築を進める。 以上の点から、研究は当初の計画以上に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
「個」の学びとしての発音練習を実現しているST Labを中国語、ドイツ語授業で利用し、自学モードによる学習者自身の発音学習の効果検証と機能改善を行う。 そして、ST Labによる「個」の「学びの場」から、VR空間における学習者同士のつながり「コプレゼンス」を感じる対話学習のための「学び合いの場」の構築を進める。これまでのMozilla Hubsを活用した中国語授業だけでなく、他の言語へ応用する。またこれらの「学び合いの場」として作成したVR空間を多くの授業実践者と共有し、VRによる外国語教育研究を推し進める。 さらに、海外の大学で日本語を学習している学習者と日本の大学生との交流の場をVR空間で実施し、国内外における「学び合い」を実現する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響により学会がオンライン開催となるなど、予定していた旅費の一部が削減されたため、翌年度請求となった。令和5年度は対面での学会開催が増える予定であり、課題2年目となり、情報収集や課題成果発表のため、旅費等に使用する。
|