2022 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語学習者の文法習得とインタラクション能力を発話の非流暢性から考察する
Project/Area Number |
22K00691
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
星井 牧子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90339656)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外国語教育 / ドイツ語教育 / 第二言語習得 / 学習者言語 / 文法習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ドイツ語学習者の発話における「非流暢性」を示す言語現象を学習者の文法知識とインタラクション能力の指標とし、習得段階を包括的に捉え、外国語教育研究および教育現場へ還元することを目指すものである。 令和4年度は、学習者言語の非流暢性およびインタラクション能力に関する先行研究を検討し、従来の議論とデータ収集・分析方法を整理、再検討し、これまでに収集・文字化済みのドイツ語学習者のインタビューデータを用いて、学習者の発話にみられる言いなおしと言いよどみの出現箇所を分析した。また並行して、多人数コミュニケーション場面の発話データを収集した。 ドイツ語習得については、処理可能性理論に基づく習得段階が広く知られている。ドイツ語の語順は、学習者の第1言語にかかわらず「主語と定動詞の倒置(XVS)」<「副文における定型後置(V-END)」の順で習得されるとされ、学習者の到達度チェックにも応用されている。一方、本研究で分析対象とした学習者2名の発話からは、V-END習得とされる段階においても、XVSの産出の際に言いなおしや言いよどみ、自己訂正などの現象が多く出現し、非流暢性の出現はV-END産出時よりも多いことが明らかになった。このことから、日本語を母語とする学習者にとっては、副文における定型後置に比べ、XVS構造は産出時の負荷が高く、学習者は発話産出時にモニターや仮説検証を行っていることを示唆していると考えられる。日本語はSOV型の言語であることから、学習者の第一言語との関係も考察する必要があるため、今後、他のコーパスの発話と比べたり、同じくOSV型の韓国語を母語とするドイツ語学習者の発話とも比較検討することが考えられる。 研究の途中成果の一部は、国際ドイツ語教員会議(IDT2022、ウィーン、対面とオンラインの併用開催)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染状況から、2022年度前半は海外渡航を見合わせたことにより、海外の共同研究者との研究打ち合わせおよび関連する分野の研究者との意見交換が制約をうけた。また研究報告を行った国際ドイツ語教員会議(IDT2022)もオンライン参加となり、対面参加と比べ、他の研究者との意見交換が限定的になった。さらに多人数コミュニケーション場面の発話データについても研究補助者の雇用ができず、文字化作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューデータを用い、学習者の発話における言いなおしと言いよどみの出現箇所の分析を進める。学習者の第1言語との関係を考察するために、他の学習者言語コーパスを利用した比較を行うことも検討する。国内外の学会等で研究の途中経過を報告し、関連分野の研究者と意見交換を行う。平行して、多人数コミュニケーション場面の発話データの収集と文字化作業を進める。
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Causes of Carryover |
理由:成果発表のための学会参加と海外の共同研究者との打ち合わせを目的として、8月にドイツ、オーストリアへの渡航を予定していたが、オンライン参加による発表に切り替えたことで、予定していた旅費の支出がなくなった。また、インタラクションデータの文字化作業をすすめることができなかったことから、令和4年度中の支出総額が減り、次年度使用額が生じた。
使用計画:研究成果の発表および海外の共同研究者との打ち合わせにかかる旅費/滞在費、インタラクションデータの文字化作業を行う研究補助者への謝金等としての支出を予定している。
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Research Products
(2 results)