2023 Fiscal Year Research-status Report
理解と定着を促進する新しい復習課題提示システムの開発
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22K00728
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
池上 真人 松山大学, 経営学部, 教授 (60420759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 信之 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80202472)
渡辺 智恵 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80275396)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 英語eラーニング / 英文法 / 理解度 / 復習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語の文法問題に関するLMSの学習データに基づいて、各問題の正誤及び各問題間の関連性、学習者自身の判断の3種類の理解度リストを比較することによって、学習者が実際に理解できている項目とできていない項目を明確化することを目的とした研究である。 2022年度には、同じ問題のセットを2回学習した場合のデータを分析したが、理解が不安定な項目をより明確化するために、2023年度は同じ問題セットを3回学習したデータを分析した。292名のサンプルを分析した結果、全体の平均値として3回とも正答を選んだ割合が35%、3回とも誤答を選んだ割合が16%であった。つまり、全体の半数は3回の解答の中に正答と誤答が混ざっていたことになる。また1回目の学習の正答率は59%だったが、1回目に正答を選んだ問題で2回目または3回目の学習時に誤答を選択した割合は24%であった。つまり、1回目の学習で正答を選んだ問題であっても、その後42%の割合で学習者は誤答を選んだということが示されたのである。この結果から、3回とも正答した問題を「理解できていた問題」とすると、1回目に正答した問題のうち、実際に「理解できていた問題」は6割程度であったことがわかる。多肢選択問題は理解していなくても正答が選べることが大きな課題の一つであるが、本調査でそれを数値的に示すことができた。 一方で、一つ一つの問題ではなく、各問題の関連性、つまり文法項目のまとまりごとにデータを見ていくと、例えば、文法項目の1つである「関係詞」の全45問をすべて学習した学生184名を対象にした分析では、1回目の45問の平均正解率と1回目に正解した問題の中で3回目まですべて正解した割合との間の相関係数は0.43であった。つまり、文法項目全体の正解率が高いほど、1回目での正答によって「理解している」と判断できる割合が高い傾向にあることが示されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通りに進んでいない理由は大きくは2つある。1つ目は研究代表者及び分担者の校務が想定を超えて増加したためであり、2つ目は各問題の理解度についての主観的データに関する調査が計画通りに進んでいないことである。主観的データの調査に関しては、2022年度の課題でもあったが、2023年度においても信頼性の高いサンプルが得られていないため、サンプルサイズを小さくして質的な調査から始める必要があると考えている。よって、研究内容そのものには変更は無いが、年度計画としてはやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
客観性データ及び関連性データに関しては大量に収集しているため、信頼性のある主観性データの収集に尽力する。また、理解度の明確化の次の段階として、ではどのような復習課題を提示するべきかの検討を進めていく。さらに、成果の発表が遅れているため、2024年度は成果発表を急ぎたい。
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Causes of Carryover |
成果発表が遅れていることから、それに伴う支出、学会発表用の旅費や論文作成関係の費用が支出されていない。2024年度には成果発表を行う予定であることから、次年度に繰り越した経費は支出予定である。
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