2022 Fiscal Year Research-status Report
探求型学習を大学入学後の研究活動に接続する新たな大学英語プログラムのモデル構築
Project/Area Number |
22K00750
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木村 修平 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (20589709)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 探究型教育 / 21世紀型スキル / 大学教育 / 大学英語教育 / コンピテンシー / VUCA |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4(2022)年度は、いわゆる探究型教育で求められるスキルやコンピテンシーの基礎研究として、文献調査およびインタビューを行った。また本研究を推進するためデスク用とモバイル用のコンピュータ環境を整えた。 探究型教育は令和4(2022)年度から学習指導要領に明記されたため高等学校の授業に強い影響を及ぼしており、各教科ごとに探究的要素をどのように組み込むか、その成果をどう評価するかについて全国的な議論が巻き起こっている。文献調査によりこのことが確認できた。 また、探究型教育に注力している複数の私立学校の教員や管理職に対面および遠隔でインタビューを実施した。その内訳は、私立小学校1校、私立高校3校である。どの学校でも例外なく次の3点が実施されていた。1. 探究型授業の評価はルーブリックに基づいて行われている、2. 探究型授業は複数教科の教員らが関わって実践されている、3. 評価ルーブリックは現場の教員らの議論を通じて策定・更新されている。 こうした学校の姿勢は、学習指導要領という「外圧」があるとはいえ、インタビューからは教員らがこれからの時代を生きる児童・生徒らに必要なスキルを身につけてもらいたいという強い意志を感じることができた。教員の1人は実際に「VUCA」(ブーカ)という用語を用いた。これは「Volatility」(変動性)、「Uncertainty」(不確実性)、「Complexity」(複雑性)、「Ambiguity」(曖昧性)という単語の頭文字をとったもので、21世紀型スキルや探究型教育を論じる際に頻出する用語である。こうした積極的な姿勢は、具体的な学習指導要領を持たない大学教育、なかんずく多くの大学で必修授業に設定されている英語教育にとって大きな示唆を有すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は2021年度から現在に至るまで全学役職(教学部副部長)に就いており、2023年度の役務の1つは全学的なコンピテンシーおよびスキルセットの策定である。はからずも本研究課題とダイレクトに接続するものであり、この点で校務の実行が研究課題の推進に繋がることが期待できるが遠隔地での現地調査や国際的な成果発表のような長距離・長期間の移動を伴う活動が極めて難しくなっていることから、アンケートやWebテストの試験実施など、当初の研究計画を一部変更する必要が生じている。幸い、研究代表者はチームで英語プログラムを運営しており、他の教員らにこうした活動への協力を呼びかけることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は国内の資料や学校、教員、教育実践により焦点をあてることとし、また、同じ英語プログラムを担当する教員らへの協力を呼びかけ、研究活動を推進することを目指す。Webテストの試作が行えなかったため次年度使用が生じたが、次年度の助成金を含め試作・実施を予定している。
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Causes of Carryover |
校務エフォートの増大により、Webテストの試作が行えなかったため。
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