2022 Fiscal Year Research-status Report
Developing English critical thinking reading and performance tests
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22K00758
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平井 明代 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00312786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 亮子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00756281)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 批判的思考力 / 枠組み / 作問 / 学習指導要領 / 教科書分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,批判的思考力を磨くために英語の授業で取り入れやすいタスクとその評価方法を確立することを目的とする。インターネットを始めとする情報テクノロジー(IT)やAIなどの発達により,あらゆる情報が簡単に手に入り処理できるようになった。そのため,如何に正しい情報を見極め,正しくテクノロジーを利用することで解決策を導く批判的思考力がますます重要になってきている。このような時代の変化に対応できる人材を育成するために,本研究は,中学・高等学校の生徒,および大学生を対象とした高度な批判的思考力を磨くタスクとそれを評価するためのテストやルーブリックを開発することである。この目的を達成するために,今年度は,以下の研究を行なった。 1点目の研究は,批判的思考力にはどのようなスキルがあり,その中でどのようなスキルが学校教育でも求められているのかを精査した。方法としては,まず,先行研究(Ennis, 1987; 2018など)を基に批判的思考力の種類をまとめたスキルのフレームワーク(枠組み)を作成した。続いて,小学校・中学校・高等学校の学習指導要領解説外国語編の中で,学校教育に求められている批判的思考力の明記がある部分を抜き出しフレームワークを作成した。その後,その2つのフレームワークから,学校教育に求められている批判的能力とそれに足りない必要な能力を合わせたフレームワークを完成させた。 2点目の研究は,小中高および大学の英語教育において,どのような批判的思考スキルが育成されているかを調査した。方法としては,小中高の英語検定教科書(3社から各学年の教科書)の中の設問を,完成させた批判的思考力の枠組みに基づいて分類した。その分析結果と得られて知見を筑波大学グローバルコミュニケーション教育センター「外国語教育論集」に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,学校教育で重要な批判的思考を伸ばすパフォーマンス・タスクとその評価方法の開発研究を進めた。また,現地で行われる(オンサイト)学会活動も再開され始めたので,予定通り研究の動向を探るためと1年目の成果を発表するために2件の国際学会に参加した。1つめの国際学会にはビデオ参加で,もう2つめの学会は現地で口頭発表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,次の3点を実施する予定である。第1点目は,作成した批判的思考力フレームワークに基づいて,リーディング及びライティング技能を使う要約タスクを作成する。そして,学生に要約タスクを受けてもらい,どのような批判的思考力が使用されているかを検証していく。分析した結果は,国内外の学会で発表する予定である。第2点目は,要約タスクの長さに関する研究を行なう予定である。要約する原文の長さと要約する長さによって,異なるライティング能力(またはリーディング能力)が関わってくると思われる。よって,複数の異なった長さの要約文課題を出すことで,要約の長さの影響も検討していく。この研究を実施するために,まずは,関連文献の収集を行っていく予定である。第3点目として,批判的思考力と同時に重要な能力の一つに創造性がある。この能力を磨くライティングタスクも検討し,タスクを作成し,批判的思考力研究と並行して,妥当性検証を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画から別角度での調査も必要となり,高等学校で重要な批判的思考力を伸ばすライティングテストとその評価に関わる追加調査のための予定外の海外出張の必要性がでてきた。学会参加費と旅費の値上がり及び円安の影響により大きな出費となり、当該年度の交付額を大きく上回る経費が必要となったため、前倒し請求を行った。 変更後は,追加でおこなったライティングテストとその評価の開発に関わる成果を取りまとめ,研究協力者である本学大学院生とともに,令和4年度中に、海外の学会で発表を行なった。その後,発表時で受けた助言を踏まえ,令和5年度中に論文にまとめて投稿する予定である。次年度分を利用したが,研究自体は別角度からの調査で深まり,今後は,当初予定どおり進めることができる。
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