2023 Fiscal Year Research-status Report
ディープラーニングによる母語の影響を踏まえたフィードバックシステムの構築と実装
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22K00762
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 昌博 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 教授 (50361150)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 母語干渉 / 過剰受動化 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語の受動態は他動詞を受動化することで生成されるが、英語学習者は自動詞に対しても同様に受動化の操作を加えて過剰に受動構文を生成する傾向があることが知られている。令和5年度は、前年度に引き続き日本人英語学習者の英語受動態の過剰産出を現象としてとりあげ、母語知識がどの程度過剰産出の引き金となっているかを調査した。実験のデザインとして、日本語の自動詞構文の中でも直接英文にしにくい「間接受動構文」を対象にして、「間接受動構文」を英語に直訳した文の文法性判断と非対格自動詞や非能格自動詞の受動文との文法性判断との相関性を調べた。目的としては日本語では文法的であるが英語としては非文法的となる「間接受動文」の受容度を日本語知識の介入とみなし、それと自動詞の受動態の受容度とどのような相関性があるかを調べることとした。被験者に対して非対格自動詞の受動構文(他動詞交替有りと無しパターンの両方を含む)と非能格動詞の受動構文、そして「間接受動文」および錯乱文をまぜたテストを実施した。結果は、それぞれの構文に関するテスト項目の信頼性をマクドナルドのオメガ係数を用いて調べたところ.69から.90のスコアとなりテストとして信頼性がおけることがわかった。さらに、各構文パターンの受容度の相関性に関しては、非能格動詞の受動構文の受容度との相関性が.64(p < .01)となり、有意な相関性が確認された。この結果により、受動態の過剰生成について母語知識の介入と非能格動詞の過剰受動態生成について関連があることが示唆された。今後は、非対格自動詞パターンとの関連性も調べることで別のメカニズムが過剰生成に関与している可能性も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英語学習者の母語干渉を調査するために、母語話者の持つ知識の影響なのか英語習熟度の違いによる影響なのかを調べる必要があり、本年度は母語の影響を調べる実験を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は学習者の習熟度別のデータを分析し、母語干渉と習熟度との関係をさらに調査したい。被験者データの分析をさらにすすめ、データ分析の結果と整合性を持つ計算モデルの構築も進める予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度において、21,803円の次年度使用額が生じた。これは無理に同年度中に使用することなく、次年度における書籍代等に使用することが有意義であろうという判断からである。
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