2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Chinese teaching materials to improve perceptive and productive abilities
Project/Area Number |
22K00764
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
劉 驫 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (00756223)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発音教材 / 知覚訓練 / 複母音 / 子音 / 知覚 / 産出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では日本語母語話者の中国語学習者を対象として、発音の学習効果を高められる教材の実現を目指している。2020年度までに発音教材の第1版(ver1.0)が作成されたほか、知覚の側面における一定の効果が認められた。しかし、複母音と子音(j, q, x, zh, ch, sh, r, z, c, s)に関しては、多くの改善すべき点が残された。したがって、2021年度ではこれらの問題点を解決するために、教材の第2版(ver1.1)が作成された。 2022年度では、教材の第2版の効果を検証した。具体的には、同じ大学で中国語を勉強する日本語母語話者を対象に、第1版を利用するクラスと、第2版を利用するクラスの知覚テストの結果を比較した。その結果、次のような事実が明らかになった。 まず、複母音ie, uo, iou, uai, ueiについては、第2版と第1版の正解率に一定の有意差が認められた。ieは89.47%から98.89%に、uoは77.63%から97.78%に、iouは72.37%から94.44%に、uaiは92.11%から100.00%に、ueiは93.42%から100.00%に上昇したことが判明した。 次に、子音の結果について説明する。10種類の子音うち、9種類に顕著な有意差が観察された。具体的には、jは65.79%から100.00%に、qは77.63%から96.67%に、xは71.05%から95.56%に、zhは82.89%から95.56%に、chは75.00%から98.89%に、shは80.26%から100.00%に、zは88.16%から100.00%に、cは86.84%から96.67%に、sは81.58%から97.78%に上昇していることがわかった。これらの事実から、教材の第2版(ver1.1)はおおむね満足のいく結果を得ていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画には、複母音と子音(j, q, x, zh, ch, sh, r, z, c, s)の問題が追加された発音教材の第2版(ver1.1)の知覚における効果を検証する目的が設定されている。 上記の「研究実績の概要」からわかるように、2022年度の実験の結果から、5種類の複母音と9種類の子音で第2版の正解率が有意に高かったことが判明したため、教材のアップデートによって、良質な教育効果が生まれたことが明らかになった。 したがって、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」にあるように、知覚の面では発音教材の第2版(ver1.1)の有効性が証明された。一方で、産出における効果はまだ検証されていないため、2023年度からは産出における教材の効果を検証するために研究を進める。 具体的には、同じ大学で中国語を勉強する日本語母語話者を対象に、第2版の教材を利用するクラスと利用しないクラス(通常通りの授業)の結果を比較することで、産出の面における教材の有用性を検証する。知覚の側面と同様に効果が認められれば、知覚と産出の両面において高い学習効果をもたらすことができる教材の実現が期待できる。 なお、検証後、研究の結果をまとめ、学会や研究会にて口頭発表を行い、言語学や中国語教育学などの分野の専門家から意見を求める予定である。また、専門家の意見をもとに口頭発表の内容を論文としてまとめ、学術雑誌に投稿する予定である。
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