2022 Fiscal Year Research-status Report
Enhancing professional development for language teachers implementing pragmatics-focused instruction
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22K00774
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石原 紀子 法政大学, 経営学部, 教授 (90523126)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 教員養成 / 教員のプロフェッショナル・デベロップメント / 多文化理解 / プラグマティックス指導 / 言語とアイデンティティー / 教員アイデンティティー / 多言語アイデンティティー / トランスランゲージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、第一に自然な言語をもとにした語用論的データを用いつつ、多文化理解や他者への寛容を培う複言語主義や多文化間コミュニケーションの理念を採り入れ、語用論的ことばの使い方に焦点をあてた教員養成講座や研修を行うことを目的としている。 2022年度には、語学教員を対象にした講座を6か月(神田外語大学)、3週間(ミネソタ大学)にわたって行い、また単発の研修を英国CELTA/トリニティー・カレッジなどで開講し、参加者からポジティブな反応や省察を得た。 第二に、国際語としての英語の語用論指導を深く再考するにあたり、世界の航空業界で統一的に使われている航空英語を例にとり、グローバル化した航空業界で、さまざまな文化背景の航空操縦士や管制官がどのように相互に歩み寄り制限の多い無線交信で意図を伝え相互理解を達成しているのか、という点を詳しく分析し論文にした。この研究からは、グローバル社会で必ずしも英語を母語としない話者がどのように友好的かつ効果的に意思疎通できるかという洞察につながるものである。 第三に、前述の語学教員を対象にした語用論的指導に関する講座における教員の学びについても、共同研究という形で受講教員の2名と協働で分析を行った。教員の多文化 体験やアイデンティティーが語学指導や語用論的指導とどのように関連しているのかについて検証し、その関連を他文化理解を促す語学教育にいかに有効に活用できるかという観点から、さらなる教員のプロフェッショナル・ディベロップメントの促進に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教員の語用論的意識を向上させ、 語用論的指導をどのように行えるか ついて詳説した 著書の第二版を出版することができ、第一版よりもさらにグローバル化した現代社会の状況を踏まえ、多文化理解を深める教員養成に貢献できる見込みである。すでに第二版を読破した研究者からは、教員養成に使いやすい内容だとの評価を得た。 語用論的指導に関する講座や研修は、国内外で3回行い、そこに参加した教員の学びについての共同研究を、サン・パウロ大学の語用論を専門とする教員・研究者などと行い、英国の研究者が編集する本の一章として発表した。 さらに上記の研究成果は、語用論的指導と教員アイデンティティーとの関りについて、応用言語学の理論や研究と関連付けて考察した論文および多文化市民性教育を採り入れた語学教育についての研究へと発展し、応用言語学の辞典および国際的に編集された書籍の一章として出版した。 また、国際語としての論用的指導を考えるにあたり、オーストラリアや中国の研究者と協働で多文化間コミュニケーション(世界の航空業界で統一的に使われている航空英語)において成否に繋がる要因を分析した論文を学会発表し、2023年度にかけて出版する予定である。 2023年3月に予定していた米国での学会発表は見送ったものの、研究成果はそれなりに順調と言えるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べた語用論的指導に関する著書の広報活動を様々な媒体で広く行い、語用論的指導についてさらに学会活動も続けながら、語用論指導の重要性および効果を訴え続けていく。そして現場の語学教員からも協力を得てフィードバックや深い省察を募り、教員にとって現実的なプロフェッショナル・ディベロップメントの機会に活かしていく予定である。そのためにも今後も 語用論的指導 に関する 語学教員対象の研修や講座を提供し続け、教員アイデンティティーや多文化間コミュニケーションの経験を活用し、教員にとって持続可能な指導方法を研究し、推進していきたい。 また、国際語としての英語の語用論的指導を考えるにあたって、まずは国際語としての英語における意味の交渉やコミュニケーション方略について、今後も航空英語の専門家と共同研究を重ねていく。このような研究は、多文化間コミュニケーションにおける語用論的ことばの使い方やその指導について、さらに具体的かつデータに基づいた検証につながるものであり、応用言語学でも、航空英語の研究コミュニティーにおいても、近年ますます注目を浴びている。さらに、社会・経済的格差の広がるグローバル社会の中で、多文化市民性をはぐくむ教育についても見識を深めていき、語用論的指導との接点を強調して反転を図りたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症が完全には収束していない状態であるとの判断から、海外での学会出張を見送ったため。2023年度以降は海外でも学会発表活動などを行う。
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[Book] L2 Pragmatics in Action: Teachers, learners and the teaching-learning interaction process2023
Author(s)
Martinez-Flor, A., Sanchez-Hernandez, A., Baron, J., Ishihara, N., Porcellato, A. M., Prado, M. C. d. A.
Total Pages
343
Publisher
John Benjamins
ISBN
9789027213662
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