2023 Fiscal Year Research-status Report
Trans-Pacific network and exclusion of Asian immigrants
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22K00836
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小倉 佳絵 (高光佳絵) 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (10334591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 蘭英 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (80396803)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | アメリカ化 / 人種統合 / IPR |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究課題の第2のリサーチ・クエスチョンである「日本・中国・朝鮮のアジア知識人たちの間になぜ連帯が効果的に形成されなかったか」を中心に研究を推進した。研究代表者はサバティカル研修のため主として米国アラバマ大学タスカルーサ校において研究を進め、19世紀末の「アメリカ化」運動におけるハワイの特殊な立ち位置とIPR創設の関係を解明した。ハワイにおける白人主導の人種統合(inter racial)は当時の人口の半数以上を占めたアジア系(日系、中国系、朝鮮系、フィリピン系)を教会やYMCAの活動を通じて英語を媒介言語とした新しい集団に改編しようとするものであった。同時期に米国本土では日系の排斥が進展したことを考えると、包摂の方向性が見いだせるものの、IPRを通じた普遍化は困難であり、ハワイ・モデルを通じたアジア知識人たちの連帯は形成されなかった。ハワイ・モデルは、統治者が少数でかつ被統治階層の政治的独立の意思が弱いという条件の下でのみ機能しうるものであったため、カリフォルニア州でも朝鮮でも実現が困難であったと考えられる。この成果を既に収集した一次史料の分析を加筆する形で、単著『戦間期アジア・太平洋トランスナショナル・ネットワークと国際政治―IPRと「アメリカ化」・「開かれた地域主義」の起源―(仮題)』の執筆を進めた。また、研究分担者崔蘭英ほか編集による『東アジア・知識人・ネットワーク』が汲古書院から刊行され、研究代表者は「戦間期における米国中心のトランスナショナル・ネットワークと東アジア知識人 ―YMCAとIPWからIPRへ―」と題してIPRネットワークの基盤を形成した米国主導のYMCAネットワークについて論じた。 さらに、Institute of Pacific Relations(太平洋問題調査会)の機関誌であるPacific Affairsおよびその前身のIPR Notesの電子データの収集を進め、分析のための準備作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2024年3月にシアトルにおいて開催されたAAS(Association of Asian Studies)に応募し、パネル(報告者3名、コメンテーター1名)として採用されたが、報告者1名とコメンテーター1名が所属機関の都合で参加が困難となったため、パネル全体を辞退することとなった。次年度以降、あらためて国際学会での発表を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
円安が進んでいるため北米の国際学会での報告のために渡米することのハードルが上がっており、国内および近隣諸国での発表を視野に入れて報告の場を再検討する。
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Causes of Carryover |
シアトルで開催されたAASのパネルを辞退し、参加しなかったため。
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