2022 Fiscal Year Research-status Report
東北アジアにおける「帝国」と移民政策―海洋帝国と大陸帝国の比較研究
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22K00841
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
SAVELIEV IGOR 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (60313491)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 東北アジア / 帝国 / 移民政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、6月に本研究の理論的研究および事例研究を取りまとめるための理論枠組みおよび方法論を確認し、7月に1893年から1902年にかけての新聞『ウラジオストク』、東北アジア史に関する文献などの資料を調査し、ロシア帝国内の人材管理、中国からの移住および国内移住、民族政策を明らかにする『ロシア史研究』への投稿原稿を作成し、2022年10月15日 にロシア史研究会2022年度年次大会に研究成果報告を実施し、さらに2022年10月28日 にオンラインにてInstitute of Asian Studies of Al-Farabi Kazakh National Universityが開催した国際学術大会“Prospects for the development of Diaspora Studies in the era of globalization, transnationalism, and digitalization” において研究成果発表を行った。同研究所が同月に刊行した論文集(国際会議プロシーディングス)Prospects for the development of Diaspora Studies in the era of globalization, transnationalism, and digitalizationにおいて、Railroad Construction and the Formation of a Labor Diaspora: the Case of Northeastern China and the Russian Far East, 1890s - 1920sという論文を掲載した。2022年11月から2023年3月にかけて収集した資料の整理・分析を行い、令和5年度の研究活動の日程を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度7月までパンデミックによる移動の制限があり、また、2022年2月から国際政治情勢悪化したために、ロシアへの渡航を控えるという方針となり、ロシア公文書館での史料調査が困難になった。状況を鑑みて、さらに未発掘の資料を用いるため、2022年7月に国内において、1893年から1902年にかけての新聞『ウラジオストク』を調査し、極東および中国東北におけるロシア帝国の植民事業、とくに人材を獲得するための諸制度に関する重要なデータを収集した。そのデータの分析に基づいて、2022年10月にロシア史研究会年次大会およびInstitute of Asian Studies of Al-Farabi Kazakh National Universityが開催した国際学術大会において研究成果発表を行った。令和5年度には、国際政治情勢を見極めながら、海外資料調査の企画を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年は、4・5月に1895年と1901年の新聞『ウラジオストク』を調査し、収集した資料を東北アジア史に関する文献などの資料と合わせて、ロシア帝国の移民政策の決定過程および中央・辺境の諸関係を、帝国構想をめぐる議論、帝国の官庁による移民政策の決定過程、帝国内の各アクター(宗主国の官庁(植民地省、移住局等)、植民地・辺境地の行政官、知識人等)の役割および相互関係、東北アジア諸国からの移住および国内移住を明らかにする。研究方法として、国際共同研究を推進するために、研究者のネットワークを強化させ、6月に「日露交流史研究会」第15回例会において、「世紀転換期のロシアの社会における極東・中国東北での植民事業をめぐる議論」(仮題)というテーマで、さらに大邱に開催されるアジア研究学会アジア学術大会(AAS-in-Daegu Conference)において、他の研究者とともにセッションを組織し、研究成果報告を行う。7月からは、史料調査を継続し、随時学術論文を執筆する。国際情勢が許す限り、海外の史料調査を実施する。
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Causes of Carryover |
2022年度前半はパンデミックの影響により移動が制限され、2022年2月からは国際情勢が悪化し、ロシアへの渡航を控えるようという方針となり、ロシアの公文書館での史料調査は困難となった。そのため、次年度使用が生じた。2023年度には、国際情勢の変化を鑑みて、海外出張が可能であれば、2024年3月にイギリスの国立公文書館(National Archives in Kew Gardens)にてイギリスの植民地省の史料を調べ、東北アジアにおける大英帝国の移民政策に関する史料調査を実施する。
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Research Products
(3 results)