2023 Fiscal Year Research-status Report
技術史的観点からみた平安時代における宮殿・官衙・寺院の新造・修造に関する研究
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22K00875
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古尾谷 知浩 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70280609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 義実 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80335182)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 日本古代史 / 手工業生産 / 建築生産 / 天皇家産機構 / 平安時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
『醍醐雑事記』、特に同史料所引の『吏部王記』等を分析して、10世紀前半~中葉における天皇発願寺院の典型例である醍醐寺の新造事業について検討した。いわゆる六国史等を分析して、山城国内の興隆寺、相応寺等の造営事業について検討した。いわゆる六国史、『東大寺要録』および東大寺関係文書等を分析して、9世紀~11世紀における東大寺大仏の修理事業、東大寺講堂の再建事業、東大寺西塔の再建事業、東大寺南大門の修理事業等について検討した。『権記』『扶桑略記』『小右記』等を分析し、10世紀末における大安寺の修理事業、11世紀における大安寺の再建事業について検討した。『薬師寺縁起』等を分析して、10世紀における薬師寺の再建事業について検討した。『造興福寺記』等を分析して、11世紀における興福寺の再建事業について検討した。また、いわゆる六国史、『本朝世紀』、『別聚符宣抄』、『扶桑略記』所引村上天皇日記、『権記』等、平安時代の諸記録を分析して、9世紀~11世紀における平安宮の修理・再建事業について検討した。以上の蓄積を踏まえ、特に建築計画と予算作成の問題に着目して、天皇家産機構との関係を考察した。その成果については論文を作成し、公刊準備中である。 また、9世紀後半における天皇家産機構と太政官制との関係について、特に宇多天皇と菅原道真との関係に着目し、『菅家文草』等の史料を分析して検討を行い、その成果として論文を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料の分析については順調に進んでいる。研究成果の公表については、9世紀後半の天皇家産制に関する論文を公刊したほかは、未刊のものがあるが、9世紀~11世紀における宮殿・官衙・天皇発願寺院の修造に関する原稿自体の蓄積はできており、公刊準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った史料分析の成果に基づいて、御願寺の造営、宮殿・官衙の修造に関する論文公刊の準備を継続するとともに、「上野国交替実録帳(不与解由状)」ほか地方行政に関する史料、国司経験者の書き残した資料等を分析して地方官衙の造営について、各種寺院文書等を分析して地方寺院の造営・修理について分析を進める。
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Causes of Carryover |
感染症予防の観点により、調査のための出張を断念したことがあったことから、旅費の支出が当初予定より少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度は今年度できなかった現地調査を行うことにより、その分の旅費の使用を行う計画である。
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