2022 Fiscal Year Research-status Report
前1千年紀西アジアの楔形文字史料に表れる疫病とその原因、背景、影響の総合的研究
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22K00921
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
三津間 康幸 関西学院大学, 文学部, 准教授 (00568280)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | バビロン天文日誌 / バビロニア年代誌 / 食料危機 / 疫病 / 前108/107年 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は紀元前1千年紀の西アジア、主としてバビロニアにおける衛生危機およびそれに関連する社会危機(疫病や飢饉等)の記述を史料から抽出して、農畜産物の価格等の関連する情報と照合して分析、考察を行った。 まずアッカド語楔形文字文書『バビロン天文日誌』を史料として前108/107年の衛生危機を論じた論文を、2021年度にトリノ大学をホストとして行われた第67回国際アッシリア学会 (67th Rencontre assyriologique internationale) での報告をもとに執筆し、学会プロシーディングスへ投稿した。この原稿に対する査読を受けて、さらに改訂を加えた論文“Health and Social Crises in 108/107 BC as Recorded in the Late Babylonian Astronomical Diaries”を再投稿し、今後の校正等の作業に備えている。 また,疫病とならぶ社会危機の一つである食糧危機に着目して『バビロン天文日誌』やその関連史料、「バビロニア年代誌」、SlotskyとWallenfelsが刊行した価格リスト、といったアッカド語楔形文字史料を分析する論文「『バビロン天文日誌』およびその関連史料に見る、新バビロニア時代以降の食糧危機」を学会誌に投稿し、その原稿に対する査読を受けて、現在再投稿すべく改訂中である(2023年5月1日現在)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は学内業務、学生相談等が予想以上に頻繁にあり、そのため研究に割けるエフォートが低下してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
論文“Health and Social Crises in 108/107 BC as Recorded in the Late Babylonian Astronomical Diaries”は今後編集者との間での校正等の作業を遅滞なく進め、刊行に遅れが生じないよう努める。 論文「『バビロン天文日誌』およびその関連史料に見る、新バビロニア時代以降の食糧危機」は近日中に再投稿し、校正等、刊行に向けた作業に備える。 このように掲載、刊行には至っていないが、論文2本について刊行に向けた作業が進んでおり、2023年度の業績として報告できる見込みは大きいと言える。 また本研究を研究者一人で遂行することの限界も感じたので、疫病について古病理学等に関心を持つ研究者、学生との共同作業を模索し、研究体制を整えて研究を推進する。
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Causes of Carryover |
1000円以下の額であり、無理に使い切る必要はないと判断して次年度使用額が生じた。2023年度の物品費として、図書等の購入に充てる予定である。
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