2023 Fiscal Year Research-status Report
植民地化によるインド西部の農村社会の変容:前植民地期からの連続的考察
Project/Area Number |
22K00928
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 道大 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (30712567)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 季節性 / モンスーン / 流通 / マラーター / 地税 / ライヤットワーリ―制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に引き続き、すでに入手済みの史料、特に18世紀末から19世紀前半にかけてのインド西部の村レベルの納税者リストの入力を続けた。村の納税者リストおよび村や郡の納税記録を分析する際に、2022年度に得た知見であるモンスーンの農業や地税等の徴税業務への影響を見るために、可能な限りで月毎の変化に注目した。今回の整理では、地税のみでなく、付加税である通関税の記録にも季節性がみられるという予想していなかった結果が得られた。鉄道敷設以前のインド西部デカン高原地域では、モンスーンが交通にも影響し、流通も季節性を有していたことがわかった。このことが農村社会に与えた影響を検証 することが2024年度の課題の一つになる。 さらに在インド・マハーラーシュトラ州立文書館プネー分館で収集した19世紀前半の現地語(マラーティー語)史料および同州立文書館ムンバイ本館で収集した同時代の英語史料の比較・照合を続けた。この作業を続ける中で、イギリスが1836年にインド西部ボンベイ管区に導入した新地税制度(ライヤットワーリー制度)について、その導入過程の検証を多角的に行うために、現地インドのみでなく、ロンドンの東インド会社・イギリス議会での議論を参照する必要が生じた。まずは東京大学で利用可能なデータベースである東インド会社(East India Company)収録の史料で検討を進めたが、より詳細な分析を行うために、2024年度にロンドンの大英図書館およびロンドン政治経済学院(LSE: London School of Economics and Political Science)での調査を計画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は海外での調査を行う予定であったが、インドでの調査に先立って、ロンドンでの調査が必要となった。十分な資金をもって2024年度のロンドン調査を行うために、2023年度のインド調査の予定を見送った。インド調査に関しては、可能であれば、2024年度中に、または2025年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はロンドンの大英図書館およびLSE図書館で、植民地初期、すなわち19世紀前半における新地税制度の導入や付加税の廃止・調整に関して、ロンドンでの議事録やその議論の基となる記録・統計を収集する。研究代表者は、これまで、イギリスに残された非公刊文書を用いてのロンドンでの議論を詳細に分析してこなかった。この分析を行うことで新たな知見を得る。インドで収集した史料の分析に関しては、通関税や地税の季節性を考慮した分析と記録の整理を進め、2024年度後半期または2025年度の史料収集・分析に向けた綿密な調査計画を立てる。
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Causes of Carryover |
2024年度は、当初の計画よりも詳細に、ロンドンで史資料を分析・調査する生じた。その資金を十分に確保するために2023年度の研究費の使用方法を変更したため。
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