2022 Fiscal Year Research-status Report
東・南シナ海の領有権問題への社会史的アプローチ-海洋漁業、海運、環境保護
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22K00932
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
早瀬 晋三 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20183915)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 領有権問題 / 東シナ海 / 南シナ海 / 海洋漁業 / 海運 / 海外在住日本人 / 『南洋日日新聞』 |
Outline of Annual Research Achievements |
東シナ海、南シナ海での漁業活動については、まず戦前の日本人漁民の活動について把握する必要がある。明治期から戦略的にマニラ湾で漁業活動をおこなってきた日本人を、フィリピン在住日本人社会に位置づけるため、戦前期フィリピン在住日本人関係資料の整理をおこなった。おもな資料は、電子版として龍溪書舎から出版予定で、その「解説、総目録」を作成し、先行して出版した(早瀬晋三『電子版 戦前期在住日本人関係資料:解説、総目録』早稲田大学アジア太平洋研究センター、2023年3月、234頁)。さらに、戦前の海外在住日本人職業別人口表の整理をおこなっている。 つぎに、シンガポールを拠点に漁業活動をおこなった日本人を把握するために、1914-41年にシンガポールで発行された日刊新聞『南洋日日新聞』の目録作成に取りかかった。早稲田大学所蔵のものは、とくに初期のものに欠号が多く、それを補うためにオーストラリア国立図書館所蔵のものを閲覧する必要があるが、コロナ禍、燃料サーチャージによる航空券高騰、円安などのために、翌年度に延期した。 東シナ海、南シナ海への出漁漁民は、南九州からの者が多いことから、宮崎、鹿児島、熊本の県立図書館等で調査をおこなった。 『復刻版 南洋協会発行雑誌-『会報』・『南洋協会々報』・『南洋協会雑誌』・『南洋』-』(龍溪書舎、2021年4月~)全30巻は、大正期の12巻が出版され、昭和期の18巻については電子版での発行を予定している。 関連図書については、書評ブログで随時紹介している http://shayase88.livedoor.blog/archives/20301270.html 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マニラ湾を拠点とした戦前の漁民の活動についての基礎的研究は順調に進んでいるが、シンガポールを拠点としたものについては、早稲田大学所蔵の『南洋日日新聞』(マイクロフィルム)に頼っているが、1914年の創刊年のものは欠号が多く、オーストラリア国立図書館所蔵のもの(マイクロフィルム)を閲覧しないと、目録が作成できず、解説も書けない。最初を充分に把握する必要があり、いいスタートが切れていない。九州からの出漁漁民の調査について順次おこない、まず南九州でおこなった。「南洋協会発行雑誌」の復刻版については、順調に進んでいる。書評ブログは毎週更新し、そのなかで本プロジェクトに関係する新刊書を紹介している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、オーストラリア国立図書館所蔵の『南洋日日新聞』を閲覧して、1914年(創刊年)の記事目録を作成し、解説を書く。28年間分あるため、4年間の補助事業期間中にはとても終わりそうにないが、少しずつ進めていく。 日本から出漁した漁民については、22年度の南九州につづき、長崎、福岡などの県立図書館で調査をおこない、社会史としての基礎資料の発掘を試みる。 「南洋協会発行雑誌」の復刻版を引き続き発行し、南洋群島などを含めたより広い視野の下で考察する。 引き続き、書評ブログで本プロジェクトに関係する新刊書を紹介していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍、燃料サーチャージによる航空券高騰、円高による宿泊料金高騰などにより、オーストラリア国立図書館所蔵『南洋日日新聞』の閲覧日数がひじょうに限られたものになるため、次年度に充分な日数を確保して効率に作業を進める。日刊紙で早稲田大学所蔵のものの欠号が約8年分あるため、閲覧にはかなりの日数が必要となる。
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