2022 Fiscal Year Research-status Report
啓蒙改革期ハプスブルク君主国における情報コミュニケーションの政治・社会的機能
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22K00945
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
上村 敏郎 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (20624662)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ハプスブルク君主国 / 啓蒙改革 / 情報コミュニケーション / 知的公共圏 / 啓蒙結社 / 言論統制 / メディア戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新旧の多様な価値観が併存した啓蒙改革期ハプスブルク君主国において、メディアを通じた情報コミュニケーションが社会や政治に及ぼした相互作用について解明することを目的としている。18世紀後半の知的公共圏の中で、多様な勢力が読者公衆に対して影響力を行使したと考えられるが、本研究では(1)政府/宮廷、(2)啓蒙結社(ドイツ・ユニオン)という2つのアクターがどのような形で公共圏の中での情報コミュニケーションに関与していたかを史料にもとづいて検証する。この研究を通じて、政治とメディアの関係や言論統制、メディア戦略など、現在でも争点のある問題について新たな知見が得られると思われる。 2022年度は、夏にオーストリアのウィーンで2週間の短期史料調査を実施し、帝室・宮廷・国家文書館(オーストリア国立文書館)で、外務省情報局警察関連文書や国務省文書内のガリツィア関連史料などを撮影した。また、オーストリア国立図書館で、日本で手に入らない研究文献を複写した。 2022年のロシアのウクライナ侵攻を受けて、ハプスブルク君主国内のガリツィアについて啓蒙知識人の言論活動を急遽検証した。その研究成果は、東欧史研究会・ハプスブルク史研究会合同個別報告会で、「18世紀末ハプスブルク君主国における啓蒙知識人のガリツィア観」というタイトルで発表し、現在、発表原稿を大幅に修正し、学術論文として投稿する準備を進めている。 さらにドイツ・ユニオンとウィーン市民の関係性を解明するために、1794年の涜神事件を中心に、これまで蒐集した史料を精査している。こちらについても研究成果の公開に向けて、準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本務校で比較的忙しい役職についていたため、可処分時間が減少してしまっているが、コロナ以来初めての海外調査を実施することができ、直接文書史料を蒐集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究展開においては、これまで蒐集した史料をさらに分析し、研究成果として公表していくとともに、夏期に3週間程度オーストリアでの史料調査を実施する予定である。 今年度から本務校で学科長となってしまったため、研究計画で予定していた国際学会での発表を断念したが、研究成果を公表できるように準備していきたい。
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Causes of Carryover |
研究計画では、本来夏期に3週間史料調査を実施する予定であったが、外国語学部教務主任の業務のために、2週間程度しか実施できなかったため。 翌年度に繰り越した研究費は海外での史料調査費用に充てたい。
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Research Products
(1 results)