2023 Fiscal Year Research-status Report
ボスニアにおけるハプスブルク帝国統治とレイスルウレマーとの関係の変容
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22K00949
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
米岡 大輔 中京大学, 国際学部, 准教授 (90736901)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ハプスブルク帝国 / ボスニア・ヘルツェゴヴィナ / イスラム / レイスルウラマー / オスマン帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の予定どおり、ハプスブルク治下ボスニアのイスラム諸制度に関して、1908年のボスニア併合前後におけるレイスルウラマーの言動を中心に研究を進めた。とくに、①レイスルウラマーが1909年の自治法制定前後にどのような政治・社会活動に関わっていたのか、②1910年ボスニア憲法の公布・ボスニア議会の設置以後、レイスルウラマーが帝国との関係をいかに取り結びつつ、イスラム社会との仲介者としてどのような役割を担っていったのかを考察した。①②のテーマともに近年、英語やボスニア語で新たな研究成果が蓄積されつつあることから、まずそれらを精読し、研究史上の課題や論点の整理を進めた。その後、①に関しては、これまで入手済みの刊行史料・未刊行史料の分析を進める中で、レイスルウラマーが教育制度やワクフなど自治法に則ってイスラム共同体の運営に従事し、ムスリム一般もまたその枠組みの中で生活しようとしていたことが明らかとなってきた。②に関しては、ボスニア語で書かれたさまざまなムスリム諸政党の機関紙に掲載されたレイスルウラマーの活動に関する内容を検討していった。これにより、彼が帝国官僚やボスニア議会のムスリム議員とのやりとりの中で、当時のボスニアの政情に関する言動を展開していたことが把握できてきており、この点は今後もさらなる考察を進めていく。 なお①②のテーマに関して、2023年9月に約2週間オーストリアの首都ウイーンにある王室・宮廷・国立文書館で史料調査を実施した。関連史料については、デジタルカメラで撮影し電子データとして新たに入手することができたので、今後はそれらの分析も鋭意進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、コロナ禍でしばらく実施できなかったオーストリアでの史料調査を遂行し、研究課題に関連した未刊行史料を多く入手することができた。その一部に関しては、先行研究やこれまでの自身の研究とすりあわせながら、すでに分析を進めつつあり、また研究成果の一部としてボスニア史に関連した研究動向論文(「分断された国家の歴史学のゆくえ」)も執筆・公表できたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまで研究を進めてきた、ハプスブルク治下ボスニアにおけるレイスルウラマーの諸活動に関して、論文執筆や口頭報告などを通じて公表していく。それと並行して、第一次世界大戦期にレイスルウラマーがどのような政治的・社会的役割を担っていたのかについても考察を始める予定である。2023年9月のウィーン滞在時にすでに、国立文書館にて上記テーマに関連した史料群を複数確認できているため、次年度はそれらの収集・分析も実施しながら研究課題の遂行に取り組む。
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Research Products
(1 results)