2022 Fiscal Year Research-status Report
倉庫の所有形態からみた弥生・古墳時代における集団関係の変質に関する研究
Project/Area Number |
22K00971
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 浩二 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10322108)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 弥生・古墳時代 / 掘立柱建物 / 高床倉庫 / 布掘り柱掘形 / 拠点集落 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究目的のうち、①北陸に多く見られる布掘式掘立柱建物跡からの高床倉庫の抽出に関し、まず高床倉庫の認定基準について検討をすすめた。同建物跡は、建物の不同沈下を防ぐために、地中梁が設置可能な基礎構造をもつことなどから、高床倉庫とする指摘がなされている。しかし、平面規模にはさまざまなものが認められる。これに関係して、梁間3.0m未満の掘立柱建物(布掘式の場合は堅固な基礎をもつことから梁間3.3mのものも)は高床倉庫とみなすべきだが、梁間4.0mのものは高床倉庫の基準を超えており、平屋建もしくは屋根倉の形式であろうと指摘されている(浅川滋男ほか2018)。北陸の布掘式掘立柱建物跡の規模を検討したところ、梁間4.0m以上のものが多数存在し、とりわけ弥生時代終末期以後はその傾向が強くなる一方、山陰ではこの段階でも梁間3.3m未満のものが一定数認められることから、同建物が北陸に展開する過程で、高床倉庫以外の性格のものへ変容した可能性があるのではないかと考えた。このように、梁行の長さを基準にして高床倉庫であることをさらに絞り込める可能性が高いと分かった。 また、一般的な掘立柱建物跡からも倉庫の抽出を行う前提として、弥生時代から古墳時代初頭における集落遺跡の調査報告書を調べ、掘立柱建物跡が多数検出されている遺跡の確認を行った。その結果、福井県茱山崎遺跡や石川県御経塚シンデン遺跡、大友西遺跡、上荒屋遺跡などの類例があり、今後これらの遺跡などを中心に検討をすすめる予定とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究目的のうち、①布掘式掘立柱建物跡からの高床倉庫の抽出に関しては、高床倉庫と認定する基準について検討をすすめ一定の見通しを得た。しかし、梁間3.4~3.9mの建物については未だ評価できていないままであり、今後さらに検討をすすめることが必要である。また、一般的な掘立柱建物跡からの倉庫の抽出に関しては、調査報告書を調べ、検討を行う上で重要な集落遺跡を確認するにとどまり、実際の抽出作業は、研究目的②北陸における集落遺跡の分類や検討と並行して今後すすめる予定である。 このように、今年度予定していた研究目的①について、今後も引き続き検討をすすめることが必要な状況であるため、現在までの進捗状況について上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的①布掘式掘立柱建物跡からの高床倉庫の抽出に関しては、高床倉庫の認定基準づくりが重要であるため、北陸の類例を時期ごとに比べるとともに、他地域の類例とも比較しながら、今後も引き続き検討をすすめる。一般的な掘立柱建物跡からの倉庫の抽出に関しては、御経塚シンデン遺跡など掘立柱建物跡が多数検出されている集落遺跡について検討をすすめる。加えて、北陸における弥生から古墳時代の集落遺跡の調査報告書をさらに詳しく調べ、類例の確認作業を行う。 さらに、研究目的②倉庫の規模や数、計画性などを基準にして北陸における集落遺跡の分類や検討を並行してすすめる。また、これらの研究を遂行する上で重要な遺跡については、可能な限り資料調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては、調査したデータの管理や分析、写真撮影した画像の管理、また平面図・断面図のデジタルトレースなどをすすめるためにノートパソコン又はデスクトップパソコンを購入する予定であったが、適当な器種が見つからなかったため、次年度以降に購入することとした。また、弥生時代・古墳時代関係等の図書を購入する予定である。 旅費については、出土遺物の実見等に関して資料調査を行うことができなかったため、次年度に実施する予定とした。
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