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2022 Fiscal Year Research-status Report

Chronological study of immigration and settlement of prehistoric Aleut by precise 14C dating with ocean reservoir correction

Research Project

Project/Area Number 22K00972
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

中村 俊夫  名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 名誉教授 (10135387)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 佐藤 鋭一  北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40609848)
奥野 充  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50309887)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords放射性炭素年代測定 / 加速器質量分析 / 炭素14年代の暦年較正 / 海洋の炭素リザーバー効果 / モンゴロイドのアメリカ大陸への移動 / モンゴロイドの太平洋沿いの南下移動 / 先史アリュート / アリューシャン列島
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、2022年8月に、アメリカ合衆国アラスカ州のダッチハーバーにあるアリューシャン博物館(MOA)のVirginia Hatfield博士が主導して計画・実施した考古遺跡発掘調査に参加して、現地の調査状況を確認する予定であった。先史アリュートの人々が移入し、定住した地域の状況を確認し、発掘の調査現場で、本研究が主たる目的とする編年研究のために、年代測定試料を採取する計画であった。しかし、2020年から続いている新型コロナ感染問題による日米両国の入出国問題や、航空運賃などの高騰、さらに、調査参加予定者の家庭事情等が重なり、本年度の現地調査を断念することになった。
さて、本研究では、アラスカの海岸に沿って、シベリアから太平洋北東海岸に沿ってアメリカ大陸へ移入し、移入の過程でアリューシャン列島周辺に定住したとされる先史アリュートの人々の履歴を追って詳細な編年の確立を研究目的としている。この際、遺跡遺物試料炭素14年代測定により詳細な編年を構築する予定である。ところが、太平洋北東海岸一帯は、海洋深層水の大循環の最終到達点の一つに位置しているとされることから、海洋の炭素リザーバー効果は、この海域で採取された海産物などの遺跡遺物資料の炭素14年代測定では、無視できない影響を及ぼす。炭素14年代を資料の歴史上の年代(暦年代)に結びつけるためには、暦年較正がきちんと行われることが不可欠である。特に、海産物試料では、海洋水の大循環の影響により、試料の炭素14年代と暦年代のズレが大きく、また、海産物試料が採取される場所に依存して、ズレの程度は大きく変動する。さらに、2020年に、暦年較正を行うための基礎データ集がバージョンアップされ、特に、海洋の暦年校正データは、大きく変更された。そこで、今年度は、海産物試料の正確な暦年較正を行うための準備を進め、その研究成果を含めて公表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

「研究実績の概要」で説明したとおり、アリューシャン列島に分布する先史アリュートの遺跡の調査は、本年度には実施できなかった。調査を断念した理由は、2020年から続いている新型コロナ感染問題による日米両国の入出国問題や、航空運賃などの高騰、さらに、調査参加予定者の家庭の事情等が重なったことによる。
そこで本年度は、2020年に公開された、海産物資料の炭素14年代の暦年較正のためのデータであるMarine20の利用結果を、これまで使われてきたMarine13の利用結果と比較する研究を進めた。解析に用いた資料は、石川県真脇遺跡が立地する沖積平野で行われたボーリングコア試料の海成層から採取した、同じ暦年代を示すはずの植物片と貝殻片のペアである。貝殻片の炭素14年代は、ペアとなる植物片の炭素14年代よりも常に古く、この年代差は、海洋炭素リザーバー年代と称される。海洋炭素リザーバー年代は、世界の海域によって異なり、世界平均のリザーバー年代からのズレの大きさがその場所のローカルリザーバー年代と称される。今回の解析によると、Marine13較正データを用いたときのローカルリザーバー年代は、-60+/-39 [14C年]と得られたが、更新されたMarine20較正データを用いたときにはローカルリザーバー年代は、-274+/-66 [14C年]と得られ、約200年も食い違っている。今後は、定常的にMarine20を用いることになるため、このMarine20を用いて、海産物試料について精度の高い暦年代を求めることができるように、さらなる検証が必要であることが明らかとなった。
このように、2022年度は、現地調査に参加できず、年代測定試料の採取ができなかったが、回り道をしたことにより、海産物試料の炭素14年代の暦年較正法の問題点を洗い出すことができた。

Strategy for Future Research Activity

2023年7-8月に、アリューシャン博物館(MOA)がウナラスカ島にあるUNL005遺跡で大規模な発掘調査を実施し、先史時代の住居跡を発掘する予定であり、これに本研究に関わる3名全員が参加する。また、昨年度に発掘調査が行われたAgnes Beach 遺跡の調査も行う予定である。こうして、まず、アリューシャン列島近辺のローカルリザーバー年代を決定するために、同じ暦年代を示すはずの植物片と貝殻片のペアを中心に、貝塚遺物試料を大量に採取する予定である。海洋炭素リザーバー効果分析を中心とした年代測定試料、古環境分析に用いるための試料や、遺跡周辺の湿地堆積物、火山灰試料などを合わせて試料採取を行う。滞在期間中に日米の調査チーム間で、これまでの遺跡調査において発掘された考古遺物のサンプルリストや遺物現物の所在の確認などを行う。一部の試料を日本に持ち帰り、中村・奥野が炭素14年代測定分析実験を、佐藤が火山灰分析を実施する。さらに、分析結果を持ち合わせて3名で遺跡編年の議論を行う。2024年1月末に名古屋で研究集会を開催し、そこで中間報告を行う。
本研究の最終年度の2024年7-8月には、必要に応じて再度現地調査を行い発掘調査を進める。また、これまでに発掘され、アリューシャン博物館(MOA)に保管されている考古遺跡遺物資料を、再度、整理確認を行い、日本で年代測定を行う資料を選別する。

Causes of Carryover

本年度は、2022年8月に、アメリカ合衆国アラスカ州のダッチハーバーにあるアリューシャン博物館(MOA)のVirginia Hatfield博士が主導して計画・実施した考古遺跡発掘調査に参加して、現地の調査状況を確認する予定であった。先史アリュートの人々が移入し、定住した地域の状況を確認し、発掘の調査現場で、本研究が主たる目的とする編年研究のために、年代測定試料を採取する計画であった。しかし、2020年から続いている新型コロナ感染問題による日米両国の入出国問題や、航空運賃などの高騰、さらに、調査参加予定者の家庭事情等が重なり、本年度の現地調査を断念することになった。
2023年度の7-8月に、アリューシャン博物館(MOA)がウナラスカ島にあるUNL005遺跡で大規模な発掘調査を実施し、先史時代の住居跡を発掘する計画であり、これに本研究に関わる3名全員が参加する。昨年度に残った予算と本年度の予算を合わせて、このために旅費として使用する。

  • Research Products

    (9 results)

All 2023 2022 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (4 results) Presentation (3 results)

  • [Int'l Joint Research] アリューシャン博物館(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      アリューシャン博物館
  • [Int'l Joint Research] ロシア科学アカデミー(ロシア連邦)

    • Country Name
      RUSSIA FEDERATION
    • Counterpart Institution
      ロシア科学アカデミー
  • [Journal Article] 中国浙江省余兆市田螺山遺跡出土木柱の放射性炭素年代2023

    • Author(s)
      中村俊夫・金原正明・菊地大樹・丸山真史・孫 国平・松井 章・中村慎一・佐藤正教
    • Journal Title

      名古屋大学年代測定研究

      Volume: 7 Pages: 1-8

  • [Journal Article] 1-06 海洋の放射性炭素リザーバー効果と海産物試料の暦年較正2023

    • Author(s)
      中村俊夫・奥野 充・佐藤鋭一
    • Journal Title

      国際火山噴火史情報研究集会公演要旨集

      Volume: 2022-2 Pages: 13-20

  • [Journal Article] 真脇遺跡出土遺物の14C年代と真脇遺跡の編年2023

    • Author(s)
      中村俊夫
    • Journal Title

      石川県能登町真脇遺跡Ⅲ。史跡真脇遺跡整備事業に係る第3-20次発掘調査総括報告書

      Volume: 3 Pages: 82-102

  • [Journal Article] 奈良県纏向遺跡出土のモモの種の高精度14C年代測定とIntCal20による暦年較正2022

    • Author(s)
      中村俊夫
    • Journal Title

      第23回AMSシンポジウム公演要旨集

      Volume: 23 Pages: 15-15

  • [Presentation] 中国浙江省余兆市田螺山遺跡出土木柱の放射性炭素年代2023

    • Author(s)
      中村俊夫・金原正明・菊地大樹・丸山真史・孫 国平・松井 章・中村慎一・佐藤正教
    • Organizer
      名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究シンポジウム
  • [Presentation] 1-06 海洋の放射性炭素リザーバー効果と海産物試料の暦年較正2023

    • Author(s)
      中村俊夫・奥野 充・佐藤鋭一
    • Organizer
      国際火山噴火史情報研究集会
  • [Presentation] 奈良県纏向遺跡出土のモモの種の高精度14C年代測定とIntCal20による暦年較正2022

    • Author(s)
      中村俊夫
    • Organizer
      第23回AMSシンポジウム

URL: 

Published: 2023-12-25  

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