2022 Fiscal Year Research-status Report
近年の転作や集中豪雨の増加にみられる環境変化と流域の地下水資源減少の関連性
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22K01030
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 教授 (70296234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大八木 英夫 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (50453866)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 地下水 / 酸素・水素安定同位体 / CFCs(フロン類) / 土地利用 / 滞留時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象地域における地下水が涵養される地域(涵養域)の推定,地下水滞留時間の推定,地下水の流動の場の土地利用状況についての把握を行った。 対象地域における6カ所において,地下水位,水温,電気伝導度を測定するセンサーを設置し,1時間ごとの連続観測を実施した。また,豊水期に相当する夏季と渇水期に相当する冬季にはセンサーを設置している井戸,自噴井戸,湧水,河川水,対象地域の下流域にあたる町の水道水源井について採水を行った。採水したサンプルについて,溶存イオン濃度,酸素・水素安定同位体,CFCs(フロン類)の分析を行った。 その結果,地下水の流動形態については過去と変化はないものの,特に下流域において直近10年間で地下水位の低下が顕著な地域があることが確認できた。地下水位の変化については,降水の影響を直接的に受ける地域と,ある程度の時間差を置いて影響が出てくる地域があることが確認できた。また,地下水の酸素・水素安定同位体組成については,変化が生じていることが確認された。地下水の滞留時間について,以前,透水係数と地形勾配から求めた滞留時間とほぼ誤差がないことが確認できた。 土地利用調査については,ドローンによる撮影を基に,土地利用図状況を確認した。その結果,1/25,000地形図に示されている地図記号による土地利用分布とは,特に水田において栽培作物に大きな差異があることが確認された。また,過去の土地利用形態からの変化の解析に向けて,自治体から過去10年程度の地区別の添削状況資料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流域における現在の地下水流動の実態把握と過去からの変化の解析については,初年度の調査と水質の分析により,対象地域の流動形態について把握することができ,過去からの地下水循環の変化について解析に向けたデータの蓄積ができた。 土地利用状況とその変化の把握については,ドローンによる撮影を基にした土地利用分布を把握する手法の検討と成果図の有効性が確認できた。 これらの進捗については,当該年度に予定していた計画をほぼ達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,センサーによる地下水位,水温,電気伝導度の連続観測を行うとともに,夏季および冬季の現地調査を行い,現象の再現性について検証する。 新たに,地下水の入力となる降水の採水を行うための採水器設置を行い,月1回の採水を行う。 データの蓄積を継続しながら,降水量の経年変化と土地利用ごとの土壌の浸透能の測定による地下水涵養量評価を行うために,農地における土壌の浸透能についての測定を実施する。
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Causes of Carryover |
当初の外注による分析が年度内に終了しないことから,この部分の分析経費について次年度に使用する計画とした。
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