2023 Fiscal Year Research-status Report
人新世に関わる人為活動活発化の評価:太田川下流域をモデルケースとして
Project/Area Number |
22K01037
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保 純子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90275967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊原 康博 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60379857)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ボーリング / ハンドオーガー / 試料分析 / 年代測定 / 鉄滓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は太田川上流における近世初頭以前に遡る大規模な砂鉄採取跡地から排出された土砂が、どのように下流沖積平野および沖積層最上部陸成層の形成に関与したかを評価することを目的とする。第2年度(2023年度)は、初年度に実施したボーリングコアの観察・試料採取・分析(久保・熊原・貞方)ならびにハンドオーガー試料の採取(熊原)等を実施した。 初年度に採取した安佐南区西原3丁目における2本のボーリングコアの年代測定を(株)加速器分析研究所に依頼した。NHR-1コアは55cmより1330cmまで計10点、NHR-2コアは123cmより497cmまで計3点である。NHR-1は1点を除き、約200年前~約7000年前までの年代が逆転なく得られた。NHR-2は約300年前~約3800年前までの年代が逆転なく得られた。このほか、砂粒子組成分析および花粉分析・珪藻分析用の試料を採取した。 鉄滓粒子については日鉄テクノロジー(株)の鈴木氏に9サンプル61点を追加分析依頼した結果、中区基町中央公園トレンチ採取試料中に、イルメナイトおよびシュードブルッカイトが認められた。これらは酸化チタンを一定量含む砂鉄を高温製錬した際に特有の反応副生成物(砂鉄製錬滓)であり、2019年に調査した阿佐南区採取試料1点に続く、2点目の確認例となった。 ハンドオーガー調査は表層部の微地形形成過程を明らかにするために下流平野部で数点実施し、年代測定や鉄滓粒子の検出等をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は安佐南区西原3丁目におけるボーリング実施が年度末となったため、試料分析等は行えなかった。本年度はボーリングコアの試料13点の年代測定をおこない、概ね逆転なく年代値が得られた。 鉄滓粒子については中区基町中央公園F採取試料中より1点の砂鉄製錬滓が得られ、2019年に調査した阿佐南区採取試料1点に続く2点目の確認例となった。ただし、絶対量の問題があり、分析方法をさらに検討する予定である。 このほか、砂粒子組成分析および花粉分析・珪藻分析用試料を採取したが、分析は次年度の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度は引き続きボーリング試料およびハンドオーガー試料の分析をすすめ、堆積環境の復元と平野形成における人為の影響の解明をおこないたい。
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Causes of Carryover |
花粉分析および珪藻分析に関しては、第3年度実施の予定とした。
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Research Products
(10 results)