2023 Fiscal Year Research-status Report
Changes in Urban Space after the Collapse of the Bubble Economy from the Perspective of Corporate Housing Unique to East Asia
Project/Area Number |
22K01049
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
矢部 直人 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10534068)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都市地理学 / 社宅 / 住宅地図 / 東京 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に作成した社宅のデータベースについて,妥当な範囲で社宅を補足しているか再確認を行った。その上で,1997年時点の社宅が,1)いつまで残っているか,2)変化した場合はどのような建物に変わったのか,という2点を分析した。具体的には,1997年度時点の社宅がいつまで存続したのか,6時点(2003,2008,2013,2016,2020,2022)のZmap TOWN IIを用いて,建物の変化の有無を調べた。社宅以外へ変化した場合は,2022年度時点における跡地の利用について記録した。社宅の存続/廃止に関する分析では,生存分析の手法を用いた。その結果,1997年度時点の社宅は8,383棟あり,2022年度時点でその3割が存続していた。内訳をみると,民間企業の社宅は2割,公的機関の社宅は5割が存続している。民間企業の社宅は1990年代後半の減少率が特に高く,この時期に社宅の廃止が一気に進んだことがわかる。社宅の存続/廃止に影響を与える要因の分析では,民間企業の社宅であること,社宅の床面積が小さいこと,が社宅の廃止に関連していた。廃止された社宅の跡地利用では,マンションなどの共同住宅(46%)が最も多く,戸建て住宅(24%),空き地・公園(13%)が続く。跡地利用に関しては,社宅を提供する主体や,社宅の床面積,都心からの距離により跡地利用が異なる傾向が示された。社宅の跡地は主に住宅へ変化していたことから,おおむね市場を通した住宅供給が進んでいると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
住宅地図のデータから社宅の跡地利用を調べる際にGISを用いたが,データの特性上,手作業で跡地利用を確認する必要が生じた。GISによる分析では,隣接する建物を跡地利用として判断してしまう場合が多くあったためである。そのため,社宅1件ごとに,目視でデータを確認する必要が生じ,多くの時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
社宅の跡地について,現時点では多くが住宅へ変化したことが分かっている。しかし,その住宅の中に,借り上げ社宅が含まれているかは検討できていない。これは用いた住宅地図のデータの性質による限界である。そのため,他のデータソースから,社宅からそれ以外の住宅へ変化したことを裏付ける必要がある。具体的には,国勢調査や民間企業の分譲マンションデータベースを用いて,社宅跡地にできた住宅の種類を把握する。また,社宅を保有している/していた企業に対して聞き取り調査を行い,どのような経緯で社宅が存続/廃止されたのか,具体的な事例を集める。
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Causes of Carryover |
当初予定していたデータとは異なるデータを利用したため,また,アルバイトの作業結果をダブルチェックのために自ら確認する作業に時間がかかり,新たな作業にとりかかることができなかったためである。
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