2023 Fiscal Year Research-status Report
2025年問題を見据えた地域包括ケアをめぐる圏域再編のあり方に関する地理学的探究
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22K01068
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
杉浦 真一郎 名城大学, 都市情報学部, 教授 (50324059)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 地域包括支援センター / 地域包括ケアシステム / 介護保険 / 地方行財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の調査によって一定程度まで推測された傾向,すなわち人口規模の大きな都市部ほど当初から地域包括支援センター(包括)の体制整備が確立されていた点に関して,政令指定都市を中心として具体的な実態調査を進めた。広島市はH18年当初から現在のような41包括の体制であり,委託先の法人も異動がない。京都市はH18年当初にすでに60箇所でスタートし,H20年度に1増して現在の61包括の体制を早くも確立していた。北九州市はH18年当初から現在のような24包括で運営しており,全て直営であることも変化がない。名古屋市はH18年度当初は市内に29の包括を設置し,H24年度から16行政区ごとに分室を設け,「29包括+16分室」の合計45箇所体制にした。委託先法人の異動はこれまでほとんどなく,27包括はH18年度から現在まで同一の法人が受託するなど,他の政令指定都市にみられるようにH18年度当初からすでに現在の体制がほぼ出来上がっていた。堺市では,H18年度当初は7行政区に1箇所ずつの体制でスタートしたが,H23年度から現在のような体制(7基幹型+21包括)になった。さいたま市では,H18年に25包括でスタートし,H21年とH27年に各1増によって現行の27圏域に再編された。これらに対して,仙台市ではH18年度当初は41包括でスタートしたが,その後3年ごとの事業期間の更新時に,H21年に3増,H24年に5増,H27年に1増,H30年に2増し,52包括に至っており,R6年4月に1増して53包括になった。熊本市では,H18年度からおおよそは現行の体制であるが,圏域の区割りは政令市への移行前の合併時や政令市移行時も含めて複数回の見直しがあった。さらに横浜市では,当初は100あまりの数であったが,その後の増設を経て,2024年度中に146箇所へと達する見込みである。これらのように,政令市においても,H18年当初に現行の体制を確立しておらず,包括の増設を繰り返すケースや,圏域再編を実施した都市も見られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度においては,政令指定都市およびその所在県を中心として,これまでの地域包括支援センターの整備過程に関する聞き取り調査と資料収集を行った。現地調査では,広島,北九州,熊本,横浜,新潟,仙台,堺,さいたま等の政令市の地域包括ケアシステム担当部署を訪問し,地域包括支援センターの設置をめぐって,その数的な変化や委託先法人の異動状況,圏域の区割り方法や今後の整備方針など,詳細な聞き取りを実施することができた。また一部では,それら政令市の所在する県で県庁の担当部署を訪問し,当該県の市町村別にみた設置状況についても資料収集をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに引き続き,研究計画で示している主な課題について着実に取り組み,その内容を推進していくことを基本的な方向性として考えている。まずは前年度までに調査できていない都道府県におけるこれまでの整備状況の過程を把握することを目指し,地域包括支援センターの整備がどのように進んできたのかを明らかにしていくため,とくに政令指定都市のうち未調査の地域を重点的に調査計画を実行に移したい。さらに,前年度の調査において,地域包括支援センターの設置と運営方法をめぐる論点が多岐にわたる都市について追加的な調査を実施することも課題となる。さらなる調査への協力の程度も見極めながら,その対象自治体を慎重に決定していくことが必要であると考えている。これらのほか,人口規模が政令指定都市に比べて小さく,すなわち20~50万程度の中規模の都市において,近年になって圏域再編と包括の追加的整備が進められている実態を踏まえ,それらの地域への詳細な現地調査も進めていくことを計画している。その中で,圏域再編と新規委託による体制整備の拡充を進めてきた自治体の実例に注目し,地域包括ケアシステムの再構築が順調に進んでいる地域を見出し,現地調査によって関係機関への聞き取りを行いつつ,その要因について考察を進めていくことを計画している。
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Causes of Carryover |
年度末の調査出張に時間が取りやすい時期に遠方での調査を計画していたが,発熱を伴う体調不良が生じたケースも一部にあったことを含めて,結果的に出張を取りやめざるを得ないこともあった。令和6年度においては,それら次年度使用額も念頭に,夏季を中心に調査出張等の計画を早めに設計し,順調な経費執行を考えている。
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