2022 Fiscal Year Research-status Report
The Politics of Cultural Heritization and Everydayness:Toward the Realization of Folkloristics as Everydayness Studies in East Asia
Project/Area Number |
22K01073
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 通弥 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (60192506)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 日常 / 文化遺産化 / エブリデイ・ナショナリズム / バナル・ナショナリズム / 食 / 家族 / 生活文化 / 普通の人びと |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ感染症の大流行による規制で、予定をしていた現地調査は海外・国内とも中止せざるを得なかったため、2022年度は文献調査によって、データの蒐集および先行研究の概念的整理をもっぱら行うことにした。 本研究の研究視角として注目してきた分析概念である、Banal Nationalismに関して、類似する概念であるEveryday Nationalismとの相違を、先行研究を系統的に追うことによって浮き彫りにした。両者とも日本語に翻訳する際、「日常的ナショナリズム」と訳されることも多いものの、前者は公式の国家ナショナリズムが日常生活や大衆文化を通じて、どのように普通の人びとに再生産され表現されるかを解き明かすための概念であるのに対し、後者はスポーツチームの応援や国産品の購入、国家祝日の祝賀のあり方など、より幅広い日常生活の中でのナショナリズムの表現を含んでいる。前者は「平凡なナショナリズム」、後者は「日常の中のナショナリズム」と訳し、操作的に弁別しながら用いるのが適当かと思われる。 当初の申請書には、具体的な事例分析の対象として、「食」と「家族」を焦点化すると記したが、「食」に関してはEveryday Nationalismの文脈で、多数の研究蓄積があることが判明してきた。 一方、「家族」に関しては、Googleアラートを利用し、2022年度に発生した「心中」の語を含むニュース記事を蒐集した。2023年度以降に蒐集を計画している中国・韓国の同種の事件報道と比較しながら、事象に対する「語り方」に着目して、分析を試みるつもりである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症の大流行による規制で、予定をしてた韓国における現地調査は中止せざるを得なかった。また2月に現地調査を予定していた遠野市小友の裸参りも、コロナ蔓延予防のため、直前に開催中止となり、断念せざるを得なかった。2023年度以降にこれらの現地調査を試みる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画では2024年度と2025年度には、中国で現地調査を行うつもりであったが、中国における反スパイ法の成立により、外国人のフィールドワークが困難であるとの情報が流れてきた。「食」と「家族」に関するデータの蒐集は行っていくものの、状況の進展によっては、調査地を台湾に変更する可能性も濃厚になってきた。もうしばらくは様子見をして、慎重な判断を期したいと考える。
|
Causes of Carryover |
2022年度に計画していた韓国ソウルにおける現地調査と遠野市小友の裸参りの参与観察調査は、コロナ感染症の蔓延により中止せざるを得なかった。2023年度はコロナ感染症に対する自粛規制は解除されたので、中止した現地調査を2023年度に行う。
|
Research Products
(8 results)