2023 Fiscal Year Research-status Report
「家族であること」のリアリティを読み解く:アフェクト論を用いた家族研究
Project/Area Number |
22K01086
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
澤野 美智子 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (00759376)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 家族 / アフェクト / ぬいぐるみ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はぬいぐるみに関するデータ入力およびぬいぐるみドクターへのインタビューを進めた。そのデータをもとに成果発表の準備を進め、2024年6月の日本文化人類学会での口頭発表が採択された。 それとともに、ぬいぐるみ愛好家へのインタビューを開始するための交渉と調整を進めた。その結果、2024年4月からぬいぐるみ愛好家へのインタビューを実施できることになり、研究協力に手を挙げてくれた方々と日程調整をして4~5月中のインタビュー日程を確定した。 また、アフェクトに関する理論の理解を深めることを目的として、読書会を2月から月一度のペースでオンライン開催し、2月は日本文化人類学会誌の『文化人類学』86号4巻の特集「世界と共に感じる能力:情動・想像力・記憶の人類学」、3月は西井凉子・箭内匡(編)『アフェクトゥス:生の外側に触れる』(京都大学学術出版会、2020年)を講読した。いずれの回も文化人類学や哲学の中堅・若手研究者および大学院生が参加し、アフェクトについての学びと議論を深めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アフェクトに関する読書会に関しては、研究計画時には想定していなかった企画であり、当初の計画以上の進捗である。 一方、ぬいぐるみ愛好家へのインタビューに関しては、交渉と調整に時間がかかったため、今年度内には愛好家の方々へのインタビューが開始できなかった。そのため特筆すべき成果発表には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ぬいぐるみ愛好家の方々への交渉と調整が完了し、インタビュー日程も確定したため、2024年4~5月内に10名程度のインタビューを実施できることが確定している。また、ぬいぐるみドクターへのインタビューをもとにした成果を2024年6月に開催される日本文化人類学会で口頭発表することが決まっている。11月に開催されるIUAESにも口頭発表を申請中である。 アフェクトに関する読書会は2024年4月にチョルダッシュ著『聖なる自己』を講読し、5月以降も月一度のペースで開催してギブソン著『生態学的視覚論』を読む予定である。この読書会の参加メンバーを中心に、2024年度内にアフェクトと家族にかんするシンポジウムを開催する予定である。
|
Causes of Carryover |
ぬいぐるみ愛好家の方々へのインタビューについて交渉と調整に時間がかかり、年度内にインタビューが実施できなかったため、インタビューに係る交通費および音声文字起こし費用が執行できなかった。また、上記の事情によってデータが不足しているため年度内には学会発表等に至らず、学会発表に予定していた旅費が執行できなかった。 2024年度は4・5月中に約10名のぬいぐるみ愛好家の方々へのインタビューを実施できることが確定しているため、音声文字起こし費用を執行予定である。また、上記インタビューをもとに成果をまとめて学会発表をするため、旅費も執行予定である。 さらに、当初の計画にはなかったが、情動と家族に関する読書会をベースにしてシンポジウムを計画しており、それに係る費用も執行予定である。
|