2022 Fiscal Year Research-status Report
A modern folklore study on building a new village community by new migrants and old residents
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22K01090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
和田 健 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (20292485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新規移住者 / 旧住民 / Iターン / 民俗慣行 / 生活改善 / 協業関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過疎化が進む農山漁村における新規移住者の果たす役割について考察をするものである。対象としている千葉県鴨川市および東京都八丈町を対象に移住者の旧来よりある社会への関わりについて、聞き取り調査を行っている。 2022年度は、おもに鴨川市釜沼集落における移住者のリーダーと後からつづいて入ってくる新規移住者家族が、過疎化進む等における関わりについて聞き取りを行った。 新規移住者は超高齢化によりむらの共同作業である草刈り、枝切りそして有害鳥獣を防ぐための電気柵の設置と管理に大きな役割を果たしている。むらの共同作業の決めごとは旧来の寄合を運営しながら対話を繰り返し、また体力的に厳しい作業については移住者や移住者が持つコミュニティ(例えば大学の研究室のメンバーや企業が開催するワークショップ参加者)とも連携して運営をしている。そして空き家古民家のリノベーションを行い、村外部とのコミュニティを開き、もとよりあったい古民家の屋号を使って新旧の人々が新たな家同士のつながりを示すなど、刷新ではなく協調対話による運営に大きく寄与している。すべてにおいてうまく新旧住民がコミュニケーションが取れるとは限らないが、新たなむらの協業関係について見てとることができた。 八丈町においては、予備調査的な活動で現況に認識を行った。町として農業および漁業の就業支援はあるものの、旧来より生活する島民のような生業経験に追いつくのにはなかなか難しさがあり、移住者を増やすというところまでは到ってはいない。離島という場所において移住者が農業とも関わりながらも移住者自身が別の生業を立てていく方策のなかで促進していくことの可能性について探っていけるのではないかと感じており、2023年度においては半農半X的なライフスタイルの可能性について、聞き取りを行ってみたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鴨川市における調査活動では、移住者がむらの活動を支えていくプロセスと、むら外との関わり、人的ネットワークのあり方について検討を行った。また、対象とした釜沼集落の民俗慣行の概要をおさえる調査活動に着手したばかりではあるが、茅葺き屋根のモヤイ、親族関係とは別に関わる、もっとも関わりの深い家として関係を結ぶ民俗慣行であるジミョウ(地名)関係などを把握できた。 八丈町では、行政的な移住施策の概要について、聞き取り調査を行った。移住者には専業としての就農、就漁を前提としてのプログラムが用意されているものの、多くの移住者を迎える流れになっているとはいえず、今後移住定着した人への聞き取りを行いながら、全体像を把握していく必要を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
鴨川市については①対象としている釜沼集落の民俗慣行を把握する②2000年代から新たに入ってきた移住者の、いわゆるライフスタイル移住のあり方について検討をする、の2点を意識して調査活動を行う。 八丈町については、①移住のサポートをするNPO法人の活動概要を知る②現実に移住した方を対象に定着までのプロセスと、定住した地区におけるつきあいのあり方について聞き取り調査を行う、の2点を意識して調査活動を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、特に八丈町への出張調査の時期を探ったが、当該年度に実施せずに、次年度に行うことを決め、繰り越しを行った。
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Research Products
(1 results)