2023 Fiscal Year Research-status Report
A modern folklore study on building a new village community by new migrants and old residents
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22K01090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
和田 健 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (20292485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新規移住者 / 旧住民 / Iターン / 民俗慣行 / 生活改善 / 協業関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過疎化が進む農山漁村における新規移住者の果たす役割について考察をするものである。対象としている千葉県鴨川市および東京都八丈町を対象に移住者の旧来よりある社会への関わりについて、聞き取り調査を行っている。 2023年度は、おもに鴨川市釜沼集落における移住者のリーダーと後からつづいて入ってくる新規移住者家族が、過疎化が進むなかでの旧来にツキアイへの関わりについて聞き取りを行った。また旧来の村落組織の共同関係(祭礼組織の運営や屋根換えのもやいなど)についても調べた。 新規移住者は超高齢化によりむらの共同作業である草刈り、枝切りそして有害鳥獣を防ぐための電気柵の設置と管理に大きな役割を果たしている。むらの共同作業の決めごとは旧来の寄合を運営しながら対話を繰り返し、また体力的に厳しい作業については移住者や移住者が持つコミュニティ(例えば大学の研究室のメンバーや企業が開催するワークショップ参加者)とも連携して運営をしている。そして空き家古民家のリノベーションを行い、村外部とのコミュニティを開き、もとよりあった古民家の屋号を使って新旧の人々が新たな家同士のつながりを示すなど、刷新ではなく協調対話による運営に大きく寄与している。すべてにおいてうまく新旧住民がコミュニケーションが取れるとは限らないが、新たなむらの協業関係について見てとることができた。 八丈町においては、移住に関わる文献渉猟を行ったが、現地取材に訪れることはできなかった。2024年度は双方共に半農半X的なライフスタイルの可能性について、聞き取りを行ってみたいと考えている。合わせて過疎化している農村における移住者の状況について、これまで現地調査をしたフィールドである新潟県村上市を調べたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鴨川市における調査活動では、移住者がむらの活動を支えていくプロセスと、むら外との関わり、人的ネットワークのあり方について検討を行った。また、対象とした釜沼集落の民俗慣行の概要をおさえる調査活動に着手したばかりではあるが、茅葺き屋根のモヤイ、親族関係とは別に関わる、もっとも関わりの深い家として関係を結ぶ民俗慣行であるジミョウ(地名)関係などを把握できた。 いっぽうで、八丈町では、調査に入ることが本務の勤務時間の制約で行えず、史料の整理のみしかできなかった。今後移住定着した人への聞き取りを行いながら、全体像を把握していく必要を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
鴨川市については①対象としている釜沼集落の民俗慣行をひきつづき把握する②2000年代から新たに入ってきた移住者の、いわゆるライフスタイル移住のあり方について検討をする、の2点を意識して調査活動を行う。 八丈町については、①移住のサポートをするNPO法人の活動概要を知る②現実に移住した方を対象に定着までのプロセスと、定住した地区におけるつきあいのあり方について聞き取り調査を行う、の2点を意識して調査活動を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度は予定していた八丈町への調査時間を取ることができなかった。 今年度は昨年度できなかった分の調査に経費を充てる予定である。
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