2023 Fiscal Year Research-status Report
現代アフリカ社会における若者の文化人類学的研究:エチオピアの地方社会を事例として
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22K01098
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
田川 玄 広島市立大学, 国際学部, 教授 (70364106)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 若者 / 人口論 / アイデンティティ / 世代と年齢 / アフリカ / エチオピア / ボラナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は近年のアフリカの人口論で注目される若者を対象とし、そのアイデンティティ形成のメカニズムを多面的に解明する文化人類学的研究である。2023年度は8月にエチオピア連邦民主共和国オロミア州ボラナ県でヤベロ市およびその周辺地域において約3週間、現地調査を行った。 この地域は約3年にわたる旱魃をようやく脱していたが、2023年8月現在、牧畜はもとより農耕も十分な回復には至らず、村落部に居住するほとんどの農牧民は、経済的に困窮していた。この困窮の一因として、それまでなされていた政府からの支援が一部打ち切られたことを指摘することができる。経済的な問題に加えて、ボラナ県に隣接する西グジ県およびグジ県の深刻な治安状況は改善することなく、不安定な状況が続いていた。 村落部とは対照的に、ヤベロ市近郊のエチオピア国立ボラナ大学のキャンパスの整備が継続的に進んでいるほかに、新たな飛行場の建設計画の進行とヤベロ市街地の整備・拡大など、大規模インフラ事業が展開されている。こうしたことによって、ヤベロ市周辺の賃労働の機会が拡大していると思われる。 上述した村落部の経済的な苦境によって、村落部での教育を中断した、若者男性が個人的に都市部に賃労働を求めて移動している姿を確認することができたが、この移動は、ヤベロ市近郊のインフラ事業の展開が、誘因となっていると思われる。ただし、地域外への移動と若者女性の動向についての把握が困難であった。若者の動向については、地域外およびジェンダーも含めて引き続き調査する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域の経済政治状況の不安定な状況は継続しており、広範な現地調査が十分にできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は引き続きエチオピア連邦民主共和国オロミア州ボラナ県において、若者の動向調査を継続する。その際、地域外移動とジェンダーについても可能な限り把握を試みる。また、現地調査と並行してアフリカの若者研究の文献調査を行っていく。
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Causes of Carryover |
2023年度もその前年度からの影響を受け、現地の政治経済状況の問題から現地調査を十分に行うことができなかったため。
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