2023 Fiscal Year Research-status Report
シティズンシップと自己決定権概念の関係性からみる新たな民主主義の模索
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22K01146
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
多田 一路 立命館大学, 法学部, 教授 (00313453)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミニ・パブリックス / シティズンシップ / 社会的民主主義 / ロトクラシー / 民主性のオルタナティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会的権利の実現のために効果的な民主主義の探究である。 この点、2023年度は、民主政のあり方を検討した。学界の状況としては、結局選挙のみが民主政であるかのように理解されているように思われるところ、選挙における投票者の判断は、政策という観点から見れば、必ず歪んでしまうことを指摘し、むしろ、学界が批判するレファレンダムの方が、ストレートに投票者の意思表示がなされることを指摘した。 自己決定なる概念が真に自己に関する決定を指し、民主制が自己統治を根底的要素とするなら、選挙による投票者意思の以上のようなゆがみは、そもそも民主政ににおける「自己統治」とは何なのか、という疑念を呼び込むことになる。 他方、レファレンダムがプレビシット化してしまう可能性をゼロにはできないので、それをできる限り減少させる方法として、ミニパブリックスを応用する方法があることを指摘した。昨年度の成果として、ミニパブリックスを本格的な熟議のプロセスとして理解すべきことを示唆していたが、フランスで実践されたものは、プレビシット化を抑制する効果が期待できるのではないか。この点、例えば、日本における憲法改正国民投票も、現状のままで執行されればプレビシットの危険性が大きいため、ミニパブリックスを応用して熟議を制度化することによってプレビシット化の危険を減らす方策が必要であろう。 なお、当初計画との関係では、自己決定権とシティズンシップとの関係性を踏まえた民主制の検討が先行している状況であり、シティズンシップ論及び、それと自己決定権論との理論的関係を検討することがなお残っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年は、年度当初に病気により2回の入院を繰り返したため、夏まではほとんど研究ができない状況に陥り、さらにその結果、必要な研究目的出張もできなかった。フランスの具体例の分析が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画から遅れている状況にあるが、2年目以降での実施を予定していたフランスの具体例の分析を、今年度で行う。また、自己決定権が保障されることの意味や、それとシティズンシップとの意味内容との重なりの検討、そしてそのことを通じて自己決定権論を再検討する予定である。 昨年度来、フランスにおけるミニパブリックスの応用は、本研究課題とも深く関連することがわかってきた。フランスの具体例の分析は、当初計画では、社会保障の運営とその権利保障にあたっての効果を想定していたが、ミニパブリックスも含めて、それらが現実に機能する基盤を探ることを検討する。
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Causes of Carryover |
入院加療により、外国出張ができなかったため、国外旅費として2023年度に計上していた金額の一部が次年度使用額として生じた。 2024年度に執行する出張旅費の一部に充当する。
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