2022 Fiscal Year Research-status Report
公教育における道徳教育と思想・良心の自由との理論的緊張関係の解明
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22K01149
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Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
橋本 一雄 中村学園大学短期大学部, 幼児保育学科, 准教授 (30455084)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近代公教育 / 道徳教育 / 教育の自由 / 思想・良心の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の学校教育において道徳を「教科」と位置づけることの是非については、戦後の日本において長らくその賛否が議論されてきた事柄であるにも関わらず、2015年以降、段階的に道徳が「教科」として位置づけられた今日の状況を省察する研究は数少ない。このような教科としての道徳が日本国憲法の保障する「思想・良心の自由」とどのような関係に立つのかを明らかにすることが当研究が取り組む課題である。 2022年度は、研究の初年度として、本研究課題に関連する日本語の資料・文献等の入手を進め、その整理・精読を行った。今年度の主たる研究の対象は、戦後の日本における道徳教育の成立と展開の過程に関する研究であり、1947年教育基本法の成立過程を始め、教育裁判やいわゆる教育権論争が展開する戦後の日本の学校教育をめぐる論争の中で、道徳教育がどのように議論されてきたのかを明らかにすることであった。 2022年度は主に先行研究を収集・整理する文献研究を行い、その議論の状況と理論の到達状況を探った。その結果、概ね研究計画段階での見立てのとおり、道徳教育の実施が戦前への復古を招く可能性があるとの論調の下、道徳教育の内容が議論されるというよりは、学校教育において道徳教育を行うべきか否かという二項対立的な論争が中心とされてきことを確認することができた。 当年度の研究成果については、2022年12月に国内の研究会において口頭発表を行った。この際には、参加者からの質問や助言により、今後の研究の方向性を改めて確認することができたことも収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施初年度の2022年度は、日本語の文献の収集及びその分析を実施する予定であったが、概ね予定どおりに研究を進めることができた。日本の戦後の道徳教育に関する文献は数多く公刊されており、雑誌論文も同様であることから、それらを整理・精読する作業を進めてきた所である。 概ね順調に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、前年度の研究成果を踏まえつつ、日本国憲法の保障する「思想・良心の自由」との関係における道徳教育の研究に着手する予定である。子どもの「思想・良心の自由」に関する日本の公法学の先行研究を精読・整理し、分析することが今年度の到達目標となる。
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Causes of Carryover |
購入予定の書籍等について、勤務校より交付される研究費の枠内で購入することができたこと等により、次年度使用額が生じた。2023年度以降は洋書の購入を併せて行うことから、その経費として繰越額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)