2023 Fiscal Year Research-status Report
危機的状況下の議会機能維持に向けたリモート議会の理論的・実践的可能性の探究
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22K01159
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小林 祐紀 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (40761458)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リモート議会 / 代理表決 / 出席 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新型コロナ・ウイルスの感染拡大のような未曾有の危機的状況において、議会の機能停止を回避すべく、現行憲法の枠内でリモート議会の理論的・実践的可能性を探究することにある。具体的には、新型コロナ・ウイルスの感染拡大の影響を受けて、危機的状況の認識の下で、リモート議会(遠隔参加や遠隔投票)による議会運営を行ったアメリカ、イギリスの状況を仔細に把握するとともに、法的な問題を提起する学説や関連する裁判例を検討することを通じて、いかなる条件の下でリモート議会が実現可能であるかを理論的に構築しようとするものである。 初年度である本年度は、アメリカにおける代理人議員を通じた遠隔投票の導入経緯やそれに関連して整備された法令等の内容を明らかにするとともに、遠隔投票実現にあたって指摘された法的問題や判例の分析・検討を行うという計画に従い、研究を進めた。アメリカ下院では2020年5月から2023年1月まで、議長が定めた期間について本会議において代理表決(proxy voting)を認め、委員会においてオンラインによる審査および表決への参加、証言の聴取を認めることとした。これに対して、上院では本会議における代理表決は認められていない一方で、多くの委員会で委員や証人のオンラインによる参加が認められていた。 この代理表決をめぐっては当初から共和党執行部は反対しており、訴訟も提起された(McCarthy v. Pelosi)が、一審、控訴審ともに、裁判管轄権がないことを理由に、代理表決の合憲性を判断することなく、訴えを却下している。また連邦最高裁が裁量上訴を認めなかった(2022年1月24日)ことから、訴訟の場において代理表決の合憲性の判断を受ける機会は失われてしまったことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度はアメリカ議会における代理表決の問題に関してヒアリングまたは資料収集を予定していたが、学内業務の忙しさにより実現できていないこと、また上記研究実績を成果物として公表できていないためである。他方で、研究実績に記載したように研究計画に沿って研究が進められている部分もあり、「やや遅れている」との評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、前年度の研究を引き継ぎ、前半は引き続きアメリカにおける遠隔投票に関する分析・検討を行う。前年度に十分に実施できていない部分を行う予定である。後半は、イギリス下院で実現された遠隔参加および遠隔投票に関する導入経緯や整備された法令等の内容を明らかにするとともに、リモート議会の実現にあたって指摘された法的問題の分析・検討を行うことを予定している。アメリカにおける代理表決に関する研究成果を何らかの形で公表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初計画ではアメリカ議会における代理表決に関する調査及び資料収集に関する外国旅費に関する費用が計上されていたが、来年度実施に回したため次年度使用額が生じている。
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