2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K01173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 啓 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40770219)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際裁判 / 管轄権 / 紛争処理 / 国連海洋法条約 / 投資仲裁 / 国際司法裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
国家が同意を与えている紛争について国際裁判所が判断を下すに際して、その論理的前提として、あるいはそれに付随して、国家が明示的には同意を与えていない事項についても判断することが必要と考えられる場合に、当該裁判所はどのように管轄権を行使することができるか。例えば、国連海洋法条約の紛争処理条項を根拠として同条約の「解釈または適用」に関する加盟国間の紛争について管轄権を有する仲裁廷が、その論理的前提として、あるいはそれに付随して、同条約の「外」にあると観念される争点についても判断することができるか。国際裁判所に依る付随的管轄権行使の正当化原理と題した本研究課題は、国際裁判所の管轄権行使という観点から問題を設定し、初年度には一定の公刊業績を残すことができた。その一方で、検討対象に対して同様の問題設定から論じる論文が一定数蓄積してきていることから、この観点からの議論はやや煮詰まりつつある状況にあると判断した。そこで、研究2年目は、研究対象に対するアプローチの仕方を変更する可能性を模索することとした。すなわち、当初設定した、国際裁判所の管轄権行使の可否・範囲という問題設定から、管轄権行使の対象となる紛争概念の捉え方・構造分析を中心に据えるアプローチへの転換である。2年目はこの後者の観点から既存の研究に新たな視座を提供しうる可能性の模索に終始し、これを具体的な成果として活字にすることが最終年度の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「概要」記載の通り、当初設定した研究対象に対するアプローチの仕方を変更する見通しを模索し、2年目の間に概ねその見通しを得ることができた。2年目はこの後者の観点から既存の研究に新たな視座を提供しうる可能性の模索に終始し、これを具体的な成果として活字にすることが最終年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にて、本研究課題をまとめる機会を用意することができた。すなわち、本研究課題が扱うトピックそのものを扱う国際シンポジウム(オランダ・マーストリヒト大学)が6月に開催予定であり、報告者の1人として論文を提出し、口頭で発表する予定となっている。同シンポジウム参加準備を主たる動力として研究の取りまとめを推進し、また参加後には速やかに論文の雑誌投稿を行う予定である。
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Research Products
(3 results)