2022 Fiscal Year Research-status Report
雇用終了後の競業避止義務の実現手段に関する比較法的展開
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22K01197
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
植田 達 常葉大学, 法学部, 講師 (50835147)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 競業避止義務 / アメリカ労働法 / 権利救済論 / 職業選択の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、労働者が使用者との間で締結する、労働者の退職後の競業を禁止ないし制限する競業避止特約の有効性と、有効である場合の使用者に認められる法的手段や権利救済のあり方について検討することを目的とする。その検討方法としては、アメリカ法を中心に、競業避止特約を規律する外国におけるルールとの比較を通じて、日本における競業避止特約をめぐるルールの在り方について現状を確認し、外国法からの示唆を模索している。 研究1年目である本年度は、主たる比較対象国であるアメリカ法の調査、分析を開始した。具体的には、アメリカにおいて、競業避止特約に関するルールは、州(法域)によって異なるところ、本年度は、制定法を設けずに判例法によって特約の効力を制限しようとする点で日本に類似しているニューヨーク州法を検討した。この検討を通じて、同州と日本法とでは、いずれも公序(public policy)を根拠に競業避止特約の効力を制限しているところ、特約の有効性判断については類似する面がある一方で、権利救済論では、競業避止特約の一部無効(に相当する解釈)を積極的に認めるかどうか、損害賠償額の予定条項の一部無効を積極的に認めるかどうか、という点でちがいが生じる面もあることがわかった。 また、競業避止特約法が州によって異なることが、全国的に事業を展開する使用者にとっても、州際的に移動しようとする労働者にとっても、特約の締結に伴う結果の予測が困難となって好ましくないという観点から、アメリカにおいても、アメリカ全国的に統一されたルールを定めるべきであるという機運も高まりつつある。近年の動向として、統一州法委員全国会議(NCCUSL)が模範法としての統一雇用競業避止特約法を策定した。そこで、同法(同法案)についても、検討を加えた。その検討を通じ、競業避止特約に関するルールを制定法化する際に課題などが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より、本年度は、ニューヨーク州などのアメリカ法を中心に、競業避止特約をめぐる外国の法制度について、データベースを含む文献による調査と、その研究結果を随時発表することを予定しており、その計画の通りに、進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を踏まえ、引き続き、アメリカ法の他の州法(具体的には、カリフォルニア州やテキサス州)を中心に外国法についての調査・研究を行う。調査方法としては、次年度もデータベースを含む文献の調査が中心になることを想定しているが、順調に進展すれば、アメリカ法の専門家からのヒヤリングやディスカッション、現地の大学図書館などでの資料収集等のため、アメリカに出張することも考えている。
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Causes of Carryover |
本研究では、文献調査を中心に進めつつ、必要に応じて、出張を伴う資料収集や研究発表を行う。本年度は、物品費から研究用の書籍を購入し、旅費から研究発表のための出張費用を支出した。加えて、データベースの利用や論文の執筆など本研究の活動に必要なノートパソコンも物品費から支出して購入した。
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Research Products
(6 results)