2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K01216
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
池田 直人 同志社大学, 法学部, 助教 (00802662)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 不作為犯 / 不作為 / 保護責任者遺棄罪 / 保護責任者不保護罪 / 遺棄罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、不作為犯の比較法研究の前提として、日本の不作為犯の裁判例を分析し、日本における不作為犯の処罰の実情を研究した。第一に、4種類のデータベース(LEX/DB、WestlawJapan、D1-Law、LLI/DB)を用いて、保護責任者遺棄罪・不保護罪(刑法218条)に関する裁判例を網羅的に収集し、これらの罪の実行行為である「遺棄」及び「生存に必要な保護をしな」い行為の意義を検討するとともに、これらについて要求される故意の内容についても検討を加えた。そして、その結果を、法学セミナー誌上に4回にわたって論文として公表した。 第二に、いわゆる目黒区女児虐待死事件に関する東京高判令和2年9月8日判時2496号84頁を題材に、心理的DVの影響を受けた不作為であることが量刑上どのように扱われるかを検討し、その結果を、ジェンダー法学会編『ジェンダー視点で読み解く重要判例40』(日本加除出版、2023)上で公刊した。 第三に、不法残留外国人の内縁の妻である被告人について不法残留罪ほう助の成立を否定した東京高判令和元年7月12日を題材として、不作為犯とほう助の関係について検討を加え、同志社大学刑事判例研究会にて報告を行った。その結果は、同志社法学上で公刊する予定である。 第四に、ドイツ法及びオーストリア法との比較法研究を踏まえ、日本の不作為犯論のあるべき方向性について、私見を構想し、研究会で報告を行った。この構想については、次年度以降も引き続き検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年次の途中から体調を崩したため、当初予定していた進捗より遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、オーストリアの不作為犯について研究結果を論文として公刊するとともに、日本の学説の基層を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
為替相場の変動により、当初購入を予定していた海外の書籍の購入を複数、次年度に見送ったため、次年度使用額が生じた。次年度は、この使用額を用いて、今回購入を見送った書籍を購入する予定である。
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