2022 Fiscal Year Research-status Report
ネット詐欺被害の危険因子の解明と注意喚起手法の開発
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22K01220
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
齊藤 知範 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (10392268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智仁 仙台大学, 体育学部, 准教授 (00642042)
松川 杏寧 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 災害過程研究部門, 特別研究員 (70727122)
山根 由子 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (80721175)
橋場 典子 関西学院大学, 法学部, 准教授 (90733098)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 犯罪被害予防 / ネット詐欺 / サイバー犯罪 / 消費者被害 / 刑事法学 / 情報リテラシー / リスク認知 / 注意喚起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インターネット利用者、情報リテラシーや消費者リテラシーの指導者などを対象とする調査を多層的に実施した上で、その量的分析、質的分析の結果にもとづき、1)ネット詐欺・消費者被害に影響する要因の実証的な解明、2) インターネット利用者の情報リテラシーや消費者リテラシーの形成過程の解明、3)ネット詐欺・消費者被害の予防のための行動を促進するための注意喚起手法の解明を行う。 本年度は初年度であり、打ち合わせを継続するとともに、以下を実施した。 ネット詐欺・消費者被害、インターネット利用者の情報リテラシーや消費者リテラシーに関する論文や資料を、社会学、法学、教育学などの分野のほか、心理学、情報工学、経済学など、幅広い分野で収集し、分析対象や方法について、整理した。理論面では、ネット詐欺・消費者被害に影響する要因を扱う枠組みとしてライフスタイル理論を検討したほか、福祉分野への警備会社の参入事例を考察した。 一方、消費者行政の関係者へのヒアリングを通じて、近年の消費者被害におけるネット関係の被害、自宅への来訪による被害など、消費者被害とネット詐欺被害の動向を把握した。また、関係するホームページを探索し、消費者相談における相談内容の区分、相談者の年齢や性別などの基礎的な統計情報を収集した。都道府県警察でのネット詐欺被害関係での相談、届出の現況についてヒアリング、資料収集するとともに、ネット詐欺被害防止のための注意喚起や広報啓発について、都道府県警察などのホームページにおける公開情報を情報収集した。一方、総務省が2022年5月に「国民のための情報セキュリティサイト」を全面刷新した内容や、「サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会」による報告書を踏まえ、サイバーセキュリティとしてのフィッシング詐欺対策やワンクリック詐欺対策について、情報を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は研究テーマの全体像と枠組みの検討のために、必要な論文を収集して、内容を整理するなど、先行研究の状況を把握するための取り組みに重点を置いて進めた。さらに、消費者被害、ネット詐欺被害の相談などの現場で集められた公開情報を収集するとともに、消費者行政や警察の担当者へのヒアリングを行うなど、最近の消費者被害やネット詐欺被害の実態に即した情報収集を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に進めた先行研究の収集と整理を次年度も継続し、先行研究での質問項目を検討した上で、次年度は、量的調査における質問項目の作成、調査の設計を進めることが課題となる。また、今年度は、消費者行政と警察の担当者という層にヒアリングを試行したが、今後の質的調査で協力を求める対象者、聞き取りのテーマについて、次年度に検討が必要となる。
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Causes of Carryover |
本年度は、論文収集や資料収集を主に実施した上で、次年度以降の調査や研究の枠組みを代表者、分担者で継続的に検討した。次年度以降に実施する予定の量的調査や質的調査の費用、文献書誌入力やデータ整理などの研究補助者のための費用、学会参加費、投稿料、掲載料、英文校閲などの費用、調査や学会参加のための旅費が必要である。このため、本年度に計上していた予算を充当した上で、適宜、予算を使用する。
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