2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K01223
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇野 瑛人 東北大学, 法学研究科, 准教授 (00734708)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 倒産法 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランスにおける倒産処理手続、とりわけ、2021年9月に担保法と共になされた改正事項について調査し、同改正翌年におけるフランス倒産処理実務や、同改正に対する学説における議論について広く資料を収拾・分析を行った。 特に、債権譲渡担保に関する同改正の規律は、日本法におけるのとは異なり、債権譲渡の種類に応じた規律の相違(設定の方法のみならず、手続への対抗や手続中の権利制限のあり方など多岐にわたる)が想定されていることが分かり、かつ、その規律の相違をもたらす際の区別の視点が、もっぱら時期に着目した規制原理しか予定していない現在の日本の同分野の改正の議論とくらべて相対的に豊かであることが分かった。他方、そのような区別が理論的にどのように基礎づけられるのかはフランス国内においてもなお揺れがあり、少なくとも実体法(こちらは日本におけるそれと大きく隔たるものではない)に対する修正の契機を倒産法が含むことを正面から承認するような議論も見られた。 同改正後におけるその他の担保権と倒産処理に関する規律についても資料収集を行い、分析の対象とした。前述の改正は、1985年以来フランス倒産法が担保権に対して取ってきた基本的態度を転換する契機を含む(担保の有用性を確保する方向での修正)ものであることが分かった。また、日本法におけるものと比較した際、担保権の扱いを倒産処理において画一化する契機に乏しいこと、また前提となる実体法(執行実体法)レベルでの担保権の本質の把握が異なっており、その差が倒産法の規律にも影響を与えているのではないかという知見を得るに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、フランスにおける現地での資料収集を予定していたところ、2021年改正に関しては概ね現在の議論状況の理解に必要な資料を収集できたように思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
8月まではフランス現地での資料収集の継続を予定している。2021年改正本体のみならず、より時間的にも対象敵にも範囲を広げてその前提となった議論や、周辺の法に関する資料を収集する予定である。 9月以降は日本に帰国し、フランスでの研究成果をまとめると共に、研究課題にかかる理論の定立に向けて、特に在外研究中に発行された国内文献にもアクセスした上で、検討を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
フランス現地での物品調達になる関係上、通貨のレートによっては購入対象の物品が予算額を超過するおそれがあった為、次年度分と合わせて使用することとした。
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