2023 Fiscal Year Research-status Report
Promotion of out-of-court settlement in collective consumer disputes
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22K01237
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
工藤 敏隆 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (50595478)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 集団訴訟 / 和解 / ADR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は比較法研究を中心とするが、現時点では、集団的被害回復手続の利用状況、法改正の動向、資料へのアクセスの容易性等の諸事情を考慮した上で、フランスとイタリアを対象としている。 フランスについては、グループ訴訟(action de groupe)における訴訟手続と、司法調停(mediation judiciaire)、および合意調停(mediation judiciaire)、ならびに当事者間交渉の関係について、同国における代表的なADR機関の1つである、パリ調停仲裁センター(CMAP)における調停の実情を調査した。CMAPは、消費者法典が消費者法典やグループ訴訟を導入するより前から、消費者集合調停規則を定め、認証消費者団体と事業者間の合意調停を行なっており、グループ訴訟において司法調停からの付託を受けることが可能な体制を設けていることが判明した。 イタリアについては、集合訴訟手続(procedimenti collettivi)における被害回復訴訟手続と、訴訟上の和解(transattiva)、勧解(conciliativa)、ならびに当事者間交渉の関係について、文献資料の調査と、現地研究者に対するインタビュー調査を実施した。集合訴訟手続においては、本案審理前の裁判所の職権による和解または調停案の提示(民事訴訟法840条の14第1項)や、請求認容判決後の個別的権利の確定前に、原告・被告間で締結される和解(同条2項)に関する規定が存在する。これらの規定の実際の運用(通常訴訟における和解的解決との比較など)については、さらなる調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランスにおける集団的消費者紛争における調停の活用については、論稿を発表することができた。イタリアの集合訴訟における和解的解決についても論稿の執筆を進めており、次年度には脱稿に至る見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
イタリアの集合訴訟手続における和解的解決について、従前の文献調査やインタビュー調査に基づき、次年度中の脱稿を目指し執筆を進める(必要に応じ、補充的な現地調査を実施する可能性がある)。 加えて、他の法域(ブラジルやカナダ等)における集合訴訟手続と和解的解決の実情についても、並行して文献調査に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
イタリア法に関する調査を本年度中に全て終了するに至らなかったため、残額を次年度以降の文献購入や補充調査に充てることとした。
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