2023 Fiscal Year Research-status Report
会社法における区分規制の再考-会社法と上場会社法制の連環-
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22K01240
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川島 いづみ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50177672)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 会社法の区分規制 / 有価証券報告書提出会社 / 公開会社 / 上場会社 / 大会社・大会社でない会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、日本の会社法等との関連では、わが国の非上場である大会社について、会社四季報等の資料も使用して実情を把握する作業を進めた。他方で、非大会社である上場会社については取引所規則によって規制の補完が行われているところ、金融審議会(資産運用に関するタスクフォース)において、スタートアップ育成の観点から、非上場株式の募集・私募のあり方や投資型クラウドファンディングの活性化(利用拡大)の議論が進められており、これをフォローしつつ会社法規制との関係性についても検討する作業を行った。 第二に、イギリス会社法等の研究に関しては、2023年8月28日から9月2日にロンドンに出張し資料収集等を行うことができた。また、研究分担者として参加する「会社等の実質支配者に係る開示規制の導入・進展と会社法法制および会社法理論への展開」国際共同研究強化(B)(研究代表者:中村信男早稲田大学教授)とも関連して、イギリス会社法における実質株主開示規制の詳細をまとめて、東京商事法研究会(主催:酒巻俊雄早稲田大学名誉教授)において7月15日に報告し、その内容を金融法務事情2217号で公表した。イギリス法においては、実質株主に対する情報提供請求やこれを怠る場合における議決権行使の禁止等に関する条項が会社法に置かれており、会社法と資本市場法制との連環を考える上で、きわめて特徴的な制度といえる。なお、年度末には、この問題に絞って、詳しい沿革等をフォローした論稿を、立命館法学(2023年第5・6号)で公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、第一に、イギリス会社法の上場会社等や規制市場上場会社に関する条項について、沿革やEUの規制の影響を検討して論文にまとめる作業を進めること、第二に、イギリスで資料収集等を行うこと、第三に、わが国の非上場の大会社について、実態把握の作業を進めることを計画していた。これらうち、第一の点については、実質株主に対する会社からの情報提供請求や違反に対する議決権行使禁止等に関する規制と実質支配者の登録簿を中心に検討を行い、インターカレッジの研究会で報告し、さらに、論文にまとめて公表することができた。第二の点については、時期的な制約もあり規制機関での聴取調査ができなかったものの、ロンドンに出張し関連資料の収集等を行った。第三の点については、相当程度の全体像の把握には未だ道半ばではあるものの、一定程度、作業を進められている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度には、比較法研究の対象を、イギリス会社法以外の法域まで拡大して、主にガバナンスに関する上場会社の法規制が会社法にどのように組み込まれているか、あるいは会社法に組込む手法は採用されていないか等を調査・研究して、その結果をまとめることを予定している。対象国としては、現在のところ、オーストラリアやカナダを想定している。そして、これまでの研究を通じて、主要国における近時の会社法と上場会社法制(主にガバナンスに関する法制)の関係を明らかにし、会社法に上場会社法制を組込むという規制手法の妥当性や普遍性を検証して、わが国の会社法における規制手法について、提言をまとめたいと考えている。 、
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