2023 Fiscal Year Research-status Report
人工呼吸器の付け替え行為の正当化ートリアージ及び治療中止によるアプローチー
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22K01280
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樋笠 知恵 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (60923290)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人工呼吸器 / トリアージ / 義務の衝突 / 違法性阻却 / 人間の尊厳 / 患者の意思 / 治療中止 / 緊急避難 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツのトリアージ法が依拠する憲法裁判所の判例は、ドイツ基本法の障害者差別に関する規定に依拠しており、平等権という位置付けは同様であるものの、例示列挙に 「障害」という文言を欠く我が国と人権とは根拠が若干異なる。とはいえ、トリアージにおける差別のリスクを浮き彫りにしたこと、医療従事者が極限的な決定を強いられている状況にあることを理解したこと 、立法の必要性を示すことでトリアージに関する法的安定性を高めたこと、医療資源が乏しい場合に、「臨床的な成功の見込み」を医療資源が不足する場合の決定的な割当て基準とすることが憲法上許されることを、初めてかつ明確に宣言したことには意義があると分析した。 また、呼吸器の付け替えに関する医師の行為を正当化するにあたり、緊急避難(ドイツにおける免責的緊急避難も検討材料にした)、義務の衝突(作為と不作為を一致させるための行為論についても研究した)について検討を深めた。 作為/不作為という現象類型的な区別から離れ、規範的な管轄という視点で医師の管轄を捉えて把握するドイツの理論を分析した。 国内の医療機関でトリアージ関連(広く治療中止も含む)のヒアリングを行って、現場の問題意識を抽出した。 また、命の優先順位として自動運転におけるジレンマ状況(トロリー問題への対処)との異同も検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツの医師会の現地調査・ヒアリングについて遅れているが、文献調査と意見交換は進めている。ドイツ集中治療・救急医学会(DIVI)、ドイツ呼吸器内科学会(DGP)、医学倫理アカデミー(AEM)、ドイツ緩和医学会(DGP)の指針の分析と、現地でのアンケート調査の開始時期が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の医学界・倫理コンサルテーション調査、日本の医学界・トリアージ方針調査も同様に行う。 そのうえで、大学病院を始めとする医療関連機関に対するアンケート調査を通じて、トリアージ・治療中止の実務に関する(疾病を特定しない)調査を行う。また、ドイツ集中治療・救急医学会(DIVI)、ドイツ呼吸器内科学会(DGP)、医学倫理アカデミー(AEM)、ドイツ緩和医学会(DGP)の指針を(現地でのヒアリングを含め)研究し、さらに、ドイツで問題となっている障害を理由としたトリアージについて検討する。 また、本年度行った医療従事者へのヒアリングを踏まえ、やはり現場で使えるガイドライン等の行動の指針が必要であると再認識したため、訴訟に発展した場合、医療従事者はどのような場合に免責されうるかという点につき、現状の4理論を踏まえ、民事と刑事それぞれに寄与すべき理論構築を目指す。
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Causes of Carryover |
ドイツ集中治療・救急医学会(DIVI)、ドイツ呼吸器内科学会(DGP)、医学倫理アカデミー(AEM)、ドイツ緩和医学会(DGP)の指針調査とそれに伴う現地大学・医療機関でのヒアリングが、現地の国会の状況(法改正)と、関連学会など諸事情により、現地への渡航ができなかったため。ここでの渡航・ヒアリング関係の費用を次年度に併せて執行する予定である。
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