2022 Fiscal Year Research-status Report
自由民主主義の危機とデモスの再検討―哲学とフェミニズムの導入による学際的研究
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22K01308
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山崎 望 駒澤大学, 法学部, 教授 (90459016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 圭 立命館大学, 法学部, 准教授 (90720798)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 民主主義 / 政治的なもの / 現代思想 / ジャン=リュック・ナンシー / アセンブリ / ジュディス・バトラー / 非暴力 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代思想と民主主義論の接点を模索するべく、先端的な研究に従事している若手研究者を研究会に招聘して議論を行った。 第一回の研究会においては、ジャン=リュック・ナンシーの思想を検討すべく、伊藤潤一郎『ジャンリュックナンシーと不定の二人称』をテキストに、ジャック・デリダの研究者である板倉圭佑氏を招聘して研究報告をしてもらうと共に、著者の伊藤潤一郎氏も招聘し、議論をした。「誰でもよいあなた」という「不定の二人称」という観点から、ナンシーの世界の自己変容運動について着目した。 第二回の研究会においては、フェミニズムの観点からジュディス・バトラー『非暴力の力』をテキストに、ジョルジ・アガンベンの研究者である長島皓平氏を招聘して報告を行い、また研究分担者の山本圭氏からは「政治的なもの再考」の研究報告をした。 上記のように、研究会には若手の現代思想研究者を招聘して議論を活性化し、政治学との接点を探っている。現段階では、バタイユ研究の横田祐美子氏、バトラー研究の五十嵐舞氏、ネグリの翻訳もある清水知子氏にも研究会に参加を依頼し研究を進めている。 ナンシーとバトラーを中心にした検討によって、政治を成立させている条件である「政治的なもの」をめぐる思考と、現存する秩序の偶発性を重視するナンシーやバトラーの思考の隔たりについての検討という課題が浮かび上がっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現代思想(主に哲学とフェミニズム)の領域について熟知しており、勢力的に研究をしている若手研究者とのコンタクトをスムーズに取ることができ、事前の打ち合わせなどを通じて問題意識を共有して研究会を開催できていることで、当初の計画以上に政治学との接点をさぐる作業は進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方法としては、フェミニズムの知見と民主主義論の接点をどのように具体化していくか、先行研究の整理と共に、独創的な議論を産み出す方法について工夫をしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を考慮に入れて、研究会をオンライン形式で行ったため、当初予定していた旅費の支出がなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は研究会を対面形式で開催することを予定しており、当初の予定通り旅費を支出する予定である。
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Research Products
(7 results)