2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K01326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 尚美 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 准教授 (60875904)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 公共政策 / 言論の自由 / 自己検閲 / 全国調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は言論の自由が保障された社会において、個人が公共政策に関する自身の意見の表明を控える「自己検閲」をテーマとして扱っている。自己検閲の動機の一つとして、メディア上の誹謗・中傷等への恐れや、マスコミ批判のリスク回避などが考えられるが、その具体的な性質と程度は十分に解明されていない。そのため、日本の文脈において、①公共政策に関する言論の自己検閲とその動機にはどのような種類があるのか、②誰がどの程度そのような自己検閲をする傾向にあるのか、③誹謗・中傷等の抑止施策によって自己検閲行為を軽減できるのか、の問いを実証的に検証することを目的とする。 そこで本年度は①と②の問いに答えるため、これまでの自己検閲の動機に関する理論と過去の実証研究の結果をレビューし、それらを踏まえて社会が直面する課題や、政府や自治体の政策(社会課題への取組みや、国民・市民に提供されるサービスに関わる方針や内容)に関する言論と自己検閲に関してアンケート調査を実施した。当初の予定ではインターネット調査を実施しデータを回収する予定であったが、代表性の高いサンプルを得るため、地点と世帯の無作為等間隔抽出法を採用し質問紙を使った全国オムニバス訪問留置き調査を利用し、1200人から有効回答を得た。アンケートはクローズド型設問とオープンエンド型設問を使い、前者によって様々な場面における自己検閲の傾向を計量化し、後者によって探索的に自己検閲の動機や種類等を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は予定通り①と②に関する市民を対象とした調査を実施してデータの回収を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは①と②について、得られたデータをもとに論文を作成する。同時に本研究では市民だけではなく公務員を対象とした自己検閲に関する調査を実施する予定であるため、公務員調査の設計も進める。③については研究計画で提案した実験調査を検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度の予算は予定通りほぼ満額消費し、98円は端数として残った。
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