2022 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期米国の宇宙政策と宇宙空間をめぐる国際秩序-1957-1963年
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22K01359
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
永井 雄一郎 日本大学, 国際関係学部, 助教 (50749033)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 冷戦 / アイゼンハワー / 宇宙政策 / アメリカ外交史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1950年代後半から1960年代前半にかけての米国の宇宙政策を分析することを通して、宇宙空間の利用をめぐる国際秩序の基礎が形づくられていく過程を明らかにすることである。初年度である2022年度は、研究の基盤を構築するため、上記の研究目的に沿って、関連する文献および資料(既刊資料集を含む)の収集と精査を進めた。また、1950年代のアイゼンハワー政権期における宇宙政策については、過去に米国の国立公文書館や国家航空宇宙局(NASA)において渉猟した史料も改めて整理しなおしながら検討を進めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当初計画していた米国での資料(史料)調査は実施することができなかったが、国内において国立国会図書館や外務省外交史料館などで資料調査を実施した他、米国国務省が編纂するForeign Relations of the United StatesやNASAの歴史室が刊行しているExploring the Unknownといった既刊資料集、米国国家安全保障アーカイブのデータベース(Digital National Security Archive)等を用いて必要な資料を収集するとともに、過去に入手していた資料とも合わせて整理・検討を進めた。 2022年度においては、特に1950年代のアイゼンハワー政権期を対象に宇宙空間の平和利用と軍事利用をめぐる政策の形成過程を辿りつつ、それらが米国の対ソ政策や冷戦戦略といかに関連していたのかという点について、新たに入手した関連文献や資料なども用いながら再検討を行った。また、こうした検討の成果も盛り込みながら、2023年3月にはアイゼンハワー政権期における米国の宇宙政策の展開を描いた書籍『冷戦とアイゼンハワー政権の宇宙政策』(日本評論社)を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である2022年度は、研究遂行の基盤を構築することを目標に、関連する文献や資料の収集を進めた。オンラインで入手可能なものも含め、国内において入手できる資料については、予定通り、十分な調査を実施することができたと考える。また1950年代のアイゼンハワー政権期における米国の宇宙政策については、過去に米国で渉猟した史料を利用することができたため、それらを本研究課題の目的に沿って改めて整理・精査しながら検討を進め、その成果も盛り込みながら書籍を出版することができた。一方、2022年度は依然として新型コロナウイルスの影響もあり、当初計画していた米国での史料調査は実施することができなかった。そのため、この点も踏まえて研究計画全体としてみれば「やや遅れている」との評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も引き続き、当初の研究計画に沿って資料(史料)の収集と分析を進めていく。特に、次年度においては、1960年代前半のケネディ政権期にまで射程を広げ、本研究課題における個別の論点についても、より詳細な検討を進めていく予定である。具体的には、平和利用と軍事利用の両面で宇宙計画が進展するなか、当時の米国政府はどのような観点から宇宙空間の平和利用を追求し、その一方で如何にして軍事利用も可能となるような環境を整えようとしたのかという点について検討を進め、その成果を学術論文として発表したい。また、そのためにも2022年度には実施できなかった米国での史料調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2022年度は、新型コロナウイルスの影響も依然として残っており、当初予定していた米国での史料調査を実施することができなかった。国内においても、オンラインで開催される研究会合等が多くなり、当初予定していた国内外への出張にかかる旅費に未使用額が生じた。 海外渡航も可能な状況が見えてきており、また学会等も徐々に対面開催へと戻りつつあるため、時機と状況を見極めながら米国での史料調査を検討する他、関連する学会や研究会合等に参加するための旅費として今後の使用を計画していきたい。
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Research Products
(1 results)